この連載では、会計を英語で覚えるコツとプロの読み方を全5回にわたって紹介します。第4回は、今年1月19日に米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破たんしたEastman Kodak(以降、Kodak)の決算書を、PL→BS→CFの順に追っていきます。経営破たんする企業は、財務3表それぞれにどういった特徴が表れるのでしょうか。そしてKodakの場合、その裏側にはどんな背景があったのでしょう。日本企業への示唆と併せて考えていきましょう。

まずは企業を想像しよう(Imagine the company, Kodak)

「Kodakと聞いて、まず何が思い浮かびますか?」

 この質問は、昭和生まれかどうかを判断するのに相応しい質問かもしれません。「(黄色い箱の)写真フィルム!」と答えた方は、カメラからフィルムを取り出して写真屋さんに現像を頼んだことのある人でしょう。

 銀塩写真カメラからデジタルカメラへの急速なシフトが起きたのは2000年初頭からです。平成元年(1989年)生まれの方は中学生か高校生の時期なので、最初に買ったカメラはデジタルカメラ(今ではスマホですが)という方が多いのではないでしょうか。それ以降の世代は、もはや「写真フィルムって何?」という反応でしょう。

 筆者は、1995年に米国ニューヨーク州のロチェスター大学にMBA留学していました。ロチェスターは、Kodak、Xerox(ゼロックス社)、Bausch & Lomb(ボシュロム社)などが本社をおく企業城下町なので、夜になると仕事を終えたビジネスパーソンがMBA取得のために通学してきました。Kodak、Xeroxといった米国を代表する企業で働くビジネスパーソンは、他の学生たちからも一目置かれていたように感じます。そんな132年の歴史を持つKodakが、ついに経営破たんしました。