中間選挙から一夜明け会見 するトランプ米大統領 中間選挙から一夜明け会見 するトランプ米大統領  Photo:AP/AFLO

“ねじれ議会”が
現実のものとなった

 11月6日、米国の中間選挙が行われた。その結果は事前の予想通り、上院は共和党が過半数を維持し、下院は民主党が過半数の議席を獲得し、“ねじれ議会”が現実のものとなった。これにより、トランプ大統領の政策運営の自由余地が減ることは間違いない。

 トランプ大統領にとって、下院の過半数を失ったことは痛手だったはずだ。

 一方で、「中間選挙」という不確定要素がなくなったことは大きい。市場参加者は、リスクを取りやすくなるからだ。事実、過去の中間選挙を振り返ると、選挙後の株価は上昇基調となっている。不透明感が解消され、リスクテイクが増えたことの表れといえる。

 今後の展開で重要なポイントは、「米国経済の先行きがどのような展開になるか」だ。実質GDPを見る限り、今年4〜6月期の4.6%から、7〜9月期は3.5%へと減速している。減税の効果が徐々に剥落していることが、その背景にある。

 ただ、今すぐに米国経済が失速する(成長率がマイナスに落ち込む)展開は想定しづらい。米国経済の現状を見れば、賃金が緩やかに増加し個人消費も堅調だ。トランプ政権が再度の減税措置を実行する方針であることを考えると、当面、よほどのことがないと景気の失速は避けられるだろう。

 ただ、2019年から2020年にかけて、先行きの不透明感が一段と高まり、経済は減速からさらに失速する懸念もある。

 その要因としてトランプ政権の政策運営の停滞や、財政悪化懸念による金利上昇リスクに加え、これまでの成長を支えたIT先端企業のイノベーションが発揮しづらくなっていることも軽視できない。