>>(上)より続く

かつての思い人への意識の変化
プラス方向に働く場合

「思い出」をきれいなものとして消化して自己処理していると、実際に過去にどれだけひどいことをされていようと思い起こされるのはいい時ばかりとなる。

 俗にいう「思い出補正」というやつである。

 恋愛を上書き保存しない男性は思い出補正フィルターを通して過去の恋愛を振り返る。美しかった恋人は思い出の中でさらに美しくなって語りかけてくる。かつての恋人は補正の上で盤石な存在となって男性の中に君臨する。

 これから紹介する2人の男性の、補正された思い人への心の変化の差が興味深かったので紹介したい。

 さて、SNSを利用していると、古くからの知り合いとつながりを再開できることがある。ネット上とはいえ旧友との邂逅(かいこう)はうれしいもので、特に実名登録が主流のFacebookではそうした盛り上がりに際することが多い。しかしBさん(39歳男性)はFacebookでかつて大好きで、やむなく別れることとなり、懸命に努力して忘れたつもりだった恋人を見かけて苦しむこととなった。

 Bさんはハルカ(仮名)と大恋愛の末破局した。

 本人は大恋愛と豪語しているが、話を聞いているとどうもBさんは彼女の遊び相手の1人にすぎなかったような印象である。

 しかしBさんがいいように利用されていたとしてもその恋愛をどう受け止めるかは結局のところ本人次第なので、Bさんがそれを「大恋愛」と感じるのは自由である。ともかくBさんが彼女をそれだけ強く思っていた……この点が重要である。