地方局のアナウンサーから史上最年少の36歳で福岡市長に就任。
逆風のスタートから、いかにして福岡を「最強」と言われる都市に改革していったのか?

就任から8年、2018年11月の市長選では28万票以上を獲得し、
前回の市長選(2014年)に続いて史上最多得票を更新した。
しかし、そこに至るまでの道のりは、第1回の記事のとおり、決して平坦なものではなかった。
福岡市長というハードな仕事を行なうなかで、高島氏には日々大切にしている言葉があるという。

博多駅前道路陥没事故の復旧や、熊本地震の際のSNS活用方法をはじめとした取り組みで注目を集める高島市長は、まさしく福岡市の【経営】者だ。そんな彼の仕事論・人生論が詰まった、初の著書『福岡市を経営する』(ダイヤモンド社、現在3刷)から、その一部を再編集して特別公開する。
<構成:竹村俊助(WORDS)、編集部、著者写真撮影:北嶋幸作>

明日死ぬかのように今日を生きる市長というハードな仕事を行なうなかで、日々大切にしている言葉があるという

「一日一生」
私が大切にしている言葉

 私が大切にしているのは「一日一生」という言葉です。

 朝起きたときに生まれて、夜寝るときに死ぬ。もう起きてこないかもしれない。1日を一生と捉えなさい、という言葉です。

 1日を一生の縮図と考えると、たとえば2時間ご飯を食べ、6時間遊び、8時間仕事をして、8時間寝るとします。これを同じように毎日続ければ、一生のあいだに使った時間の割合と変わらなくなる。「何に時間を使ったか」の割合は、1日も一生も同じになるのです。

 つまり、一生は1日の生き方の積み重ねなわけです。

 10年で何かを成し遂げようと思ったら、1日の使い方から変えないといけない。1日の過ごし方とまったく同じことが10年間繰り返されるだけだからです。

「明日死ぬかのように今日を生きる」という言葉も大きく影響を受けた言葉です。

 明日が今日と同じように来るとは誰も断言できません。そう考えると今日という1日の捉え方もまったく変わってきます。

 私は生きるということをいつも「死からの逆算」で考えています。それは、学生時代に中東で得た死生観が、今でも影響を与え続けているからです。

 私たち人類は、過去から「命のバトン」をずっと受け継いできました。ひとりの命は有限です。ほとんどの命は数十年で終わります。私たちは永遠に生きることはできません。しかし、人類は命を「つなぐこと」で永遠を実現できるのです。

 そんなことを実感したのは、学生時代、エジプトのカイロ博物館でラムセス二世のミイラの前に立ったときでした。