女性の社会進出Photo:PIXTA

失われた「30年」。日本経済のバブル崩壊後の停滞。1990年から計算すると2018年で28年となり、バブル崩壊のタイミングで生まれた世代が、まもなく30歳に差し掛かる。30歳を超えてくると、周りの友人や知人から結婚や子どもの誕生の知らせを聞く機会が増えてくる。飲みの席での話題も「家庭」や「働き方」をメインに人生設計についてなど、少しシリアスなテーマが増える。筆者は仕事柄、自分よりも30歳ほど年上の方々(60代半ば)と話をさせていただくことも多いのだが、やはり昔と今で大きく違うと感じるのは「家庭」と「働き方」の部分だ。今回は統計情報を基に、激変した家庭のカタチを確認すると同時に、改善された働き方や道半ばの改革における問題点についても見ていく。
(株式会社マネネ 代表取締役社長CEO 森永康平)

実態にそぐわない制度が少子化を加速させる

 30代も半ばになると、生活の中で「仕事」という要素に加え「家庭」や「育児」という要素が入り込む人も増えてくるため、悩みの質が変わってくる。生活拠点が東京都内にある筆者は、金融を専門に事業を展開し、子育て世代でもある。そのなかで頻繁に相談を受ける内容の1つに待機児童問題がある。第一子を保育園に入れる際はこの問題に直面し、違和感を覚えた記憶がある。

 筆者の住んでいる東京都練馬区の場合、確実に子どもを保育園に入れようとすると、最低限の前提条件として、「両親ともに居宅外で月20日以上、1日8時間以上の就労が常態化している」ことが挙げられる。しかし、まだ保育園に子どもを預けていない状態で、両親ともに居宅外でフルタイムで働くというのは現実的ではなく、どうしても親族の協力が必要になってしまうケースが出てくるが、親族の協力は必ずしも全ての人が得られるわけではない。