桜蔭・雙葉・豊島岡女子・渋谷幕張…。東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないのに有名難関校に続々合格させると話題の塾だ。男女別カリキュラムを取り入れたロジカルで科学的な学習法は、特にエリート父親層から圧倒的な支持を集めている。本連載では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『女の子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)の内容から、子どもの計画・理解・反復・習慣のプロセスを体系化した「女の子の特性」に基づく学習法をお伝えしていく。

「褒める8割、叱る2割」のバランスが女の子を育てる黄金比率

「叱る人」「叱らない人」の役割をつくる

 信頼関係を大事にしている女の子には、そこを理解した上で叱る必要があります。

 女の子は、最も信頼している人に叱られることを嫌います。そこで、本人が最も信頼している人は、あくまで味方要員に残しておいて、二番目以降に信頼している人に叱らせると効果的です。

 VAMOSでは、それぞれ担任のように身近な講師がいて、たいていの女の子は、私よりもその講師を信頼しています。

 なにか苦言を呈さなければならないことがあったときに、その講師に言わせると、女の子はVAMOSに居場所がなくなったと感じてしまいますので、私が叱ります。

 「なんだ、この点数は。理科を頑張るとか言ってたじゃないか。全然できてないな」

 そして、最も信頼されている講師は女の子の味方になって一緒に対策を練ります。

 「○○ちゃん、さっきは大変だったね。あんなオヤジに偉そうなこと言われて、まったく腹立つよな。だったら、ちょっと理科の勉強の仕方を変えてみようか」

 すると女の子は、その講師との信頼関係がさらに強固になったと感じ、共通の敵である私をギャフンと言わせるために二人で立てた作戦をきちんと履行しようとします。結果的に、理科ができるようになって、私が叱った目的はとげられるわけです。

 家庭においても、女の子に叱りたいことがあったときに、自分が「娘にとって一番身近な存在だ」と感じたなら、そこはちょっと引いて、ほかの人にその役割を担ってもらう工夫も必要です。