年に一度の特別な1日を、皆さんはどのように過ごしますか? 「仲間とわいわいホームパーティー」「恋人とレストランでクリスマスディナー」など、様々な楽しみ方があるでしょう。今回は、そんな特別な1日をより盛り上げてくれる「ワイン」について、近著『教養としてのワイン』(ダイヤモンド社刊)が5万部突破のベストセラーとなった、元NYクリスティーズのワインスペシャリスト渡辺順子氏に教えてもらいました。

クリスマスディナーでは、
ヨーロッパ伝統のマリアージュを楽しんでみては?

 クリスマスの食前酒には、シャンパンもいいですが「ランブルスコ」もオススメ。イタリアのエミリオ・ロマーニャ州でつくられる発泡性の赤ワインで、綺麗なルビー色のワインは、クリスマス気分をより一層盛り上げてくれます。ランブルスコは、アルコール度数が10%前後と通常のワインより低く、甘口・辛口と種類も豊富、さらに軽い前菜にも相性抜群なため、パーティーにも欠かせない1本です。

 魚介料理に合わせる白ワインであれば、歴史あるドイツの造り手「エゴン・ミュラー」の低アルコールのリースリングをオススメします。エゴン・ミュラーは、「The most expensive wine」のランキングでロマネ・コンティやルロワに続く堂々3位に登場した「トロッケンペーレンアウスレーゼ」で有名ですが、その他にもお手頃な「シャトーベレ」など幅広いラインを手がけています。最上のリースリングにこだわった独自の哲学を持つエゴン・ミュラーのワインをゆっくり堪能すれば、よりリッチで贅沢な時間を味わえるでしょう。

 ヨーロッパ流の伝統的なクリスマスのマリアージュを楽しむのもオススメです。フランスのクリスマスディナーに欠かせない料理といえばフォアグラです。日本でもクリスマスの定番メニューですが、パテやソテーにした濃厚なフォアグラに貴腐ワインを合わせるのがヨーロッパ流の楽しみ方。フランスの画家ローテレックも、フォアグラと貴腐ワイン「シャトーディケム」の組み合わせがお気に入りだったと言います。

 通常、貴腐ワインは、食後にデザート代わりにいただきますが、ヨーロッパ流にフォアグラと共に貴腐ワインを頂けば、いつもと違ったマリアージュを楽しめるでしょう。もし、ディナーコースにフォアグラ料理があるようでしたら、料理が提供された際に「貴腐ワインはありますか?」とソムリエに聞いてみるのもいいかもしれません。ただし、フォアグラと貴腐ワインの組み合わせは、日本人にはどっしり重く胃にもたれますので、くれぐれも食べ過ぎには気をつけてください。

 また、クリスマスディナーの締めに、真紅色のポートワインとチョコレートをいただくのもヨーロッパの伝統的な楽しみ方のひとつ。芳醇な香りとコクのあるポートワインにビターなチョコレートの相性は抜群で、イギリスをはじめ、ヨーロッパでは古くから愛されている組み合わせです。