電気自動車で世界一周する――。そんな旅を続けるフランス人、アントニン・ガイとシャビエール・デゴンの2人が、現在、東京から長崎へ向けて1500キロメートルを縦断中だ。目的は電気自動車の普及促進と、電気自動車の可能性を人々に理解してもらうこと。旅を続けるためにアクサ・アシスタンス、シトロエン、EDF(フランス電力公社)などの支援を受けているが、基本的に旅の途中でのトラブルや急な充電が必要になったときは、ドライバーである2人が、自力で解決することで対応している。旅を通して得た体験を語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

周りに人が住んでいない
ロッキー山脈越えが難関だった

総走行距離2万5000km!電気自動車世界一周の旅<br />「日本は世界屈指のEVフレンドリーな国だ」東京を出発するシャビエール(左)とアントニン(右)。「富士山、京都、広島を訪れるのが特に楽しみ」だという。

 2012年2月に、フランス・ストラスブールを出発してから、北上してベルギー、オランダを通り、北米大陸に上陸。その後、ニューヨークからサンフランシスコまで走破した。車はシトロエンの「C-ZERO」だ。

 全旅程の走行距離は2万5000キロメートル。17ヵ国を訪れ、8カ月間もの時間をかける。電気自動車の走行の為に使う電気代は250ユーロの予定だ。

「ここまでで一番苦労したのはロッキー山脈を越えるときだった。1日の平均走行距離は約120キロメートル。山道を登るのは大変だった。坂道だし、向かい風でどうしても速度も落ちるから、その分時間もかかる。加えて周りに人が住んでいない。チャージをするところがないから、気を使わないといけなくて大変だった」(シャビエール)

 彼らの一日のスケジュールは、「チャージする」と「運転する」の大きく二つに分けられる。充電するには14時間かかるため、夜間、寝ている間に充電をするのだという。

「充電しながら休んで、また運転しての繰り返しだ。でも、充電している間、散策したり、地元の人に旅について聞かれるから、いろいろ説明したり。現地の人々との交流も楽しい」(シャビエール)