「小規模マンションは値上がりしにくい」という通説のウソ総戸数が多い大規模マンションは値上がりしやすく、小規模マンションは資産性が低いため値上がりしにくい、と言われる。しかし、少なくとも都市部に限ってみれば、それは誤った通説だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 総戸数が多いマンションは値上がりしやすい。これは理由がはっきりしている。こうした大規模マンションは新築時に販売する戸数が多いので、価格を安めにして広域で集客し、一気に売り切る。竣工して中古になると、バラバラと1戸ずつ売り出されるが、その際には総戸数が少ない小規模マンションよりもセールスポイントが多い。エントランス、ゲストルーム、ジムなどの共用部分が充実していて、敷地にゆとりもあるからだ。

 このため、実物を内覧する中古では、大規模の方が高値で取引されやすい。こうして、大規模マンションは新築時価格が安く、中古時には高くなるので価格が上がりやすいのだ。

 これを首都圏と近畿圏の規模別中古値上がり率で比較すると、同様の傾向を示す。首都圏では400戸以上は8.1%平均で値上がりしており、100戸未満における1.0%の値下がりより、10%近く有利になるのだ。ところが、この法則には例外があった。

小規模マンション「大健闘」の
要因はいったい何か

 首都圏に限った話だが、総戸数25戸未満の中古値上がり率は+1.7%と、前述の法則に逆行して資産性が高い。サンプルが少ないのかと思いきや、3000棟以上の十分なサンプルが存在する。ならば、その原因を探っておこう。

 まず、エリア別に見ると、都区部だけが+7%でプラスになっており、その他の地域の物件は軒並み全てマイナスとなっている。また、25戸未満の物件数もその6割が都区部に集中している。郊外では小規模マンションはあまり存在しないが、都心には多いという傾向が明らかに出ている。