賛否両論が沸き起こった禁酒令

 5月22日、高島宗一郎・福岡市長はツイッターで下記のようにつぶやいた。

福岡市の禁酒令から酒の“役割”を意識し、<br />自らの成長に繋げよう

 高島市長が大胆に打ち出した政策に関して、全国規模で議論が沸き起こっている。議論の活性化は素晴らしいことだ。

 政策の合理性に関して(同職務命令に法的根拠はない)、賛否両論ある。「何とも言えない」という、賛否を明確にできない市民も少なくないようだ。

 禁酒令について、福岡市広聴課には22日午後4時までに164件の意見が寄せられ、賛成37件、反対64件、その他63件だったという。インターネット大手「ヤフー」の意識調査では、「妥当」約70%、「妥当でない」約28%、「その他・わからない」約3%で、支持する人が圧倒的に多かった。(「3カ月やった方がいい」「パフォーマンス」 「禁酒令」に意見、164件 /福岡県 2012/05/23 朝日新聞 朝刊 27面)

 愛飲家が多く、最近、公務員の酒に関する不祥事が起きた韓国でも「他人事ではない」と注目され、メディアも大きく報じている模様だ。

高島市長は問題に向き合った

 福岡市・県職員のお酒に関する不祥事は、誰もが「事態は深刻」と認識できる状況だった。

 これに対して、「禁酒」という対応は、多くの人々の意見にあるように、私も稚拙であると思う。「市長のパフォーマンスでしかない」という見方にも頷ける。「禁酒」というショック療法によって、福岡市周辺の外食店に及ぼす売り上げ減の影響も気がかりだ。

 しかしながら、批判に臆せず意思決定した人間を、盲目的に引きずり下ろしても、何も始まらない。最悪なのは、むしろ問題を前に見て見ぬふりをし、一切の対処策を取らないことだ。

 国際社会で「日本の政治家は意思決定ができない、しない」と揶揄されて久しい。そういうコメントを聞くたびに、私は一日本国民として悔しい思いをしてきた。特に国政レベルで意思決定が滞る傾向にあるなか、高島市長は、下記ツイッターのコメントにあるように明確な理由を持って「意思決定」をした。

福岡市の禁酒令から酒の“役割”を意識し、<br />自らの成長に繋げよう

 漸進な方法が良いのか、それともショック療法が適切なのか。それは次の段階の話である。国民を交えて、思いっきり議論をしながら着地点を模索すればいい。

「荒療治だ」「根本的な解決にはならない」といった批判が見られるが、本連載「だったら、お前がやれ!!」の基本的立場にもあるように、代わりの案を示して議論するのではなく、具体的な行動も伴わない批評に社会的価値はない。