「論理に裏打ちされた戦略があってこそ、成功にたどりつける」――これがかつてのビジネスの常識だった。しかし「他者モードの戦略」は、いたるところで機能不全を起こしつつある。その背後で、いま、マーケットに強烈なインパクトを与えているのは、「根拠のない妄想・直感」を見事に手なずけた人たちだ。
そんななか、最新刊『直感と論理をつなぐ思考法――VISION DRIVEN』を著した佐宗邦威氏は、いま何を考えているのか? P&G、ソニーで活躍し、米国デザインスクールで学んだ最注目の「戦略デザイナー」が語る「感性ベースの思考法」の決定版!!

変わるための“まわり道”―トランジション理論

「仕事はうまくいっているけれど、なんとなくモヤモヤする。でも、どこに不満があるのかもよくわからない」――そんな閉塞感を持っている人は、今の時代、非常に多いのではないかと思う。

僕たちの生きる世の中そのものが「転機」を迎えているのだ。いままでの僕らをつくってきた仕組みや、その前提となる考え方・生き方にとらわれている限り、僕たちの閉塞感は消えない。そんなとき僕らは、どのように考え方・生き方をアップデートすればいいだろうか?

「人生における転機には3つの段階がある」とするトランジション理論によれば、まず必要なのは「[1]終わらせる段階」に進むことだ。