ダイハツ自家発電4割を検討<br />節電の足並み揃わぬ業界事情自家発電の導入により、「ランニングコストが2ヵ月で2000万円アップする」(三菱自動車)という。自家発電導入は苦渋の選択だ
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 ダイハツ工業、三菱自動車が、自衛的な節電対策に打って出る。

 昨夏は、木・金曜日を休業し、土・日曜日に稼働する輪番休業を実施するなど足並みを揃えて節電対策を実施していた自動車業界だが、今夏は様相が違う。豊田章男・日本自動車工業会会長は、「従業員のみならず、2次、3次メーカーへ多大な負担をかけた」として、輪番休業の実施を見合わせるとともに、業界共通の節電対策は行わない方針を鮮明にしている。「震災後のサプライチェーン問題で生産稼働率を上げられなかった昨夏とは異なり、今期はエコカー補助金の恩恵を受けて各社がフル生産の状況。生産活動に響く節電の協調路線を取れるはずもない」(自動車メーカー幹部)という本音も絡み、各社の個別対応に任されている。

 割を食っているのは、関西電力管内に主力生産拠点を置くダイハツと三菱自動車だ。5月末までに関電から節電要請を受けており、その中身は、7月から9月22日までの期間中、ピーク時間帯の電力を2010年比15%以上削減する、というものだ。関電大飯原子力発電所の再稼働手続きの進捗次第では、「数値目標が緩和される方向」(経済産業省幹部)ではあるが、要請そのものが解除される可能性は皆無に近い。

 ダイハツでは、昨夏の節電手段を柱とした対策を準備している。節電対策を指揮する石橋一泰・生産企画室課長の“節電マニュアル”ともいうべき手製ファイルは厚さ約10センチメートルに及ぶ。効果的な節電対策は二つ。一つ目は、関西拠点の電力供給の25%を占める自家発電機の出力向上により、関電からの買電を抑える。二つ目は、設備の動力源となるコンプレッサーの空気圧を低く設定したり、生産ラインの集約化を進めたりして、ピーク時の電気使用量を抑制する。

「昨夏は10年比でピーク時電力を19%削減した。今夏も何とか乗り越えられるのではないか」(石橋課長)という。中長期的なリスク回避を目的に、「経営会議では、自家発電機を増設し、自家発電の割合を現在の25%から4割程度へ高めることで検討中」(同)だ。