東大を独学で現役合格し、さらに東大大学院を受験で合格。学生時代から取得した資格の数は600を超える。これまで20年以上、試験をずっと受け続けている著者だからわかる、点数をとるワザを紹介していきます。小手先のテクニックではなく、長く勉強し続けていくために必要な戦略が詰め込まれている東大→東大大学院→600個超保有の資格王が教える点数稼ぎの勉強法から、一部抜粋して紹介していきます。東大に受かる人や本当に頭のいい人の学ぶ姿勢は、必読です。

覚え方は要約力で決まる

「要するにどういうことか」を
端的にとらえる

 マンガや小説に出てくる登場人物に、民法・刑法の条文や、『古事記』『日本書紀』などの歴史書の文章を一字一句違わず暗唱する、天才系のインテリキャラがときどきいます。

 しかしこれはあくまでファンタジーの世界の話であって、こんな天才はこの世に実在しません。そもそも、法律の条文などを完璧に正確に覚えることには、あまり意味がないからです。

 法律の条文や教科書の本文などは、そのまま覚えるには長すぎます。

 そのまま覚えようとするのではなくて、自分の中で「要するにどういうことか」と圧縮したうえで知識として吸収する必要があります。

 この「要するにどういうことか」を端的にとらえる「要約力」が重要です。

 頭のいい人は、頭の中のハードディスクにデータをうまく圧縮してから保存する能力が高いのであって、ハードディスクの容量自体が常人よりも特別大きいとか優れているというわけではないのです。

 長い文章の要約は、基本的に次のようなポイントを意識して行います。

1.あるワードを削除しても文意を変えずに文章が成り立つなら、そのワードは消す
2.複雑なワードや表現を、もっと簡潔な別のワードに置き換える
3.あえて書かずとも残りの文章から当然連想できる内容は、まるごと省略する

 とはいえ、できるだけざっくり覚えるようにすればいいのかというと、単純にそうともいえません。不適切な要約の仕方をして覚えてしまうと、試験問題として出てきたときに対応できないことがあります。

 たとえば、次の特許法の条文を覚えるとします。

第六十七条 特許権の存続期間は、特許出願の日から二十年をもつて終了する。
2 特許権の存続期間は、その特許発明の実施について安全性の確保等を目的とする法律の規定による許可その他の処分であつて当該処分の目的、手続等からみて当該処分を的確に行うには相当の期間を要するものとして政令で定めるものを受けることが必要であるために、その特許発明の実施をすることができない期間があつたときは、五年を限度として、延長登録の出願により延長することができる。

 この長い文章は「特許権は出願日から20年。実施不可期間ありなら5年延長可」のように要約しますが、これを「特許は20年」とざっくり覚えてしまうのはよくありません。

 というのも、20年の起算日が「特許出願日」なのか「設定登録日」なのかを区別して覚えていないと解けない問題がしばしば出るからです。要約するとはいえ、文章に含まれるキーワードや重要なポイントは正確に覚えておかなければなりません。

 要約力の肝は、「どのポイントは正確に覚えている必要があって、どのポイントはざっくり端折ってしまっても問題ないのか」の見極めです。

 たとえば、教科書で太字・赤字になっている用語は「そのまま覚えるべき重要な用語」なので、それ以上自分で勝手に要約して言い換えてしまってはいけません。

 また、問題集に出てくる問題を吟味してみることによっても、そのまま覚えるべき重要な用語(端折って覚えてはいけないところ)を見極めることができます。

 具体的には、
1.正誤判定問題で「正しい文章」から「誤りの文章」にするために変形されている箇所
2.穴埋め問題の「穴」の部分に入るワードとして出てくる用語
3.論述問題で「以下の語句を必ず用いて記述せよ」とされている指定語句

 などです。

 これらはそのまま、「ここの暗記があいまいだと問題に答えられない」というポイントなので、「そのまま覚えるべき重要な用語」です。

 このような用語やポイントは正確に覚えるようにしつつ、できるだけ文章を圧縮して「要するにどういうことか」を端的に覚えるようにします。

覚え方は要約力で決まる