第2回では【「ビジネスプロセスを数値化する習慣」と「逆算する力」があなたを成功に導く】と題して、定性情報を定量情報に置き換える必要性、そしてゴールから逆算する方法についてお伝えしました。第3回では、会社の数字の達人になるために必要な「決算書を読む力」と「決算書を加工する力」についてお伝えします。

決算書を読む力【その1】~貸借対照表を鵜呑みにしてはいけない

 決算書は、貸借対照表(B/S損益計算書P/L)、そして製造業等では製造原価報告書C/R)で構成されます。

 貸借対照表では、会社の資産、負債、純資産の状況を使って決算日時点での会社の財政状態を表します。

 一方、損益計算書では、会社の売上、原価、経費、利益を使って、会社の一会計期間(主に1年間)の経営成績を表します。

 また、自社で製品やサービスを製作する業種の場合は、その明細を把握しやすくするために製造原価報告書を作ります。

 このようにして作成された決算書をもとに、財務分析が行われることが多いのですが、ここでは、決算書に記載されている金額自体が実態に合致しているかどうかに注意しなければいけません。

 資産項目に関しては、不良債権や滞留債権が含まれていないかを確認する必要があります。

 (1)すでに取引は終わっているにもかかわらず、売掛金残高が残ったままになっている

 (2)自社の売掛金回収サイトの設定が1ヵ月にもかかわらず、数ヵ月分の売掛金残高が残っている

 (3)商品の販売が終了したにもかかわらず、ずっと在庫に計上されている商品がある

 (4)自社の材料支払サイトの設定が1ヵ月にもかかわらず、数ヵ月分の在庫が計上されている

 (5)その他流動資産に分類される立替金、仮払金、未収入金、短期貸付金等の残高が、前期と同じ残高、もしくは増加している

 このように、計上されている残高の内容を精査し、正常な残高を把握する必要があります。

 これは、負債についても同様です。

 貸借対照表では、正常営業循環基準ワンイヤールールといったルールを通じて、「流動負債」や「固定負債」に分類していますが、このルール通りに区分されていない場合も存在します。

 (1)入金の残高について、1年以内に返済すべきものから長期間にわたって返済すべき残高を、すべて固定負債の長期借入金の科目に計上している

 (2)割賦(ローン)で数年間にわたって返済すべき残高を、流動負債の未払金で全額計上している

 このように、本来は流動負債に該当すべき項目を固定負債に計上したり、その逆が発生したりと、実情に即していないケースがあるのも事実です。

 このため、決算書に表示されている金額や科目を、そのまま鵜呑みにして財務分析をしたところで、会社の実態にそぐわない評価になってしまう場合があります。

 まずは、財務分析を行うにあたって、決算書の数字自体が実態に即しているかを確認しておきましょう。