Brexit期限の「柔軟な延長」は「離脱撤回」への誘導路かPhoto:PIXTA

 英国のEU(欧州連合)からの離脱問題は、メイ首相がEUと合意した離脱案(正確には法的拘束力のある離脱協定案及び法的拘束力のない英国とEUの将来関係に関する政治宣言案の2つ)が、英国議会で3度、否決され(3度目は離脱協定案のみ採決)、「合意無き離脱」になりかねない土壇場で、離脱期限が10月末まで延長されることになった。

 だがこの間に、英国がどういう「出口」を見いだすのかは、見えないままだ。

 総選挙や再度の国民投票実施の可能性もある。だが、北アイルランド問題という根深い対立と世論の分断を抱えた英国が混迷から抜け出せるのかどうかは、予断を許さない。

EU大統領が提案した
「柔軟な延長」の意味

 3月29日の離脱協定案の3度目の否決を受けて、ベルギーのブリュッセルで4月10日に開催された臨時の欧州理事会では、8時間にわたった会議後の11日未明(現地時間)、英国の離脱期限の再延長で合意した。