先日、一時帰国をしていた際、有名大企業で働く同世代からある愚痴を聞いた。

「僕たちだって組織の中で勝負していきたいんですよ。若い世代が問題意識を持っていないと言われますが、それは違うと思います」

 私はいつになく聞き役に徹する。彼は続ける。

「僕らが新しいプロジェクトを立ち上げようとしても、組織が大きすぎて何も動かないし何も変わらない。40代、50代になっても何もしないで、ただポストに居座りながら高い給料をもらっている上司を見ると、心が空しくなるんですよ」

 第11回コラムでも指摘したように、日本の若者は決して「盲目的な内向き集団」などではない。意識を高く持ち、成長するために日々努力している同志は少なくない。私は彼ら、彼女らと共に、日本再生のために闘っていきたい。

入社、退職、転職、独立、だから何だ!

 以前と変わらず、新卒で入社した企業をわずか2~3年で辞める若者は多い。最近では、そのことを得意げに話す若者もいると、知人が教えてくれた。

 それを聞いた私の感想は「想像に難くない」というものだ。

 終身雇用、年功序列、均質主義といった企業文化になじめない若者が増えている。日本の高度経済成長期を支えた伝統的な就業観は、少なくとも若者世代の間では半ば崩壊している、というのが私の皮膚感覚だ。

 問題は、若者のマインドセットが時代の変化に敏感に反応しつつある状況下において、組織の文化や社会の風潮が「後ろ向き」であることだ。つまり、世の中が依然として過去における成功体験、ノスタルジアに縛られているのだ。若者が、そんな時代錯誤な感覚を引きずった組織から離れるのは、当然のことかもしれない。

 そもそも、企業や組織に属する事や短期間で辞めること自体、良い・悪いとか、すごい・すごくない、特別・平凡などというように、評価する次元の話ではない。

 企業に入社する、辞める、転職する、独立する……。それがどうした。だから何だ!