昔懐かしいアナログレコード
A面=ポジティブ、B面=ネガティブ

 CDがアナログレコードの売り上げを抜きシェア54%となったのが1986年とのこと。88年にはその比が9対1となり、レコード時代が終焉を迎える。つまり、ざっくり言うとCD時代に突入してすでに25年。ということは、いま30歳の若手ビジネスマンですら、すでにアナログレコードについてはリアルなイメージを持ち合わせていないということになりますね。でもそのあたりの年齢なら、親のレコードが家にあったりしてわかることはわかるかな?

 ダジャレの話なのにこんな入りをしたワケは、51歳である僕、および僕とやりとりする人たちの間ではごく当たり前の「A面とB面」という概念が、いったいどの年代まで通じるのか検証してみたかったからです。

 さあ、では20代、10代のみなさんへ! 昔々、あるところにおじいちゃんとおばあちゃんが住んでもいたけど、音楽録音盤面にはウラとオモテ両面があって便宜上「A面とB面」と呼んでいたのじゃった。アルバムでは、オモテで半分聴き終えるとウラ返して残り半分を再生していましたが、シングルなら、大多数の場合あくまでメインはオモテであり、ウラはほとんど聴かない人もいたと思う。ヒット狙いのレコードにおける消費者の意識としては、A面にお金を払い、B面はあくまでおまけ。そんな日陰者的扱いを受けてきたのがB面である。よってこのB面という響き自体に、人々の侮蔑的感情が潜んでいる。

 ちなみに、プラスチックの小箱にビニールヒモが入った、これまたアナログなカセットテープという録音装置も同じく「A面とB面」がありました。これもA面の再生が終わると、ガシャッと取り出して、ひっくり返してB面にという手間のかかることをしていた。ここでも面倒だからと聴かれることのないB面が、死屍累々となっていたことでしょう。アーメン。

 このように、レコードを知る世代にとっては、本来の「AとBに分けました」という意味合いを超え、A面=ポジティブ、B面=ネガティブという図式ができあがっている。

ダジャるためのきっかけは表裏
用法として考えてみよう

 と、ここまでがロングピロー長い枕でして、その「A面とB面」という概念を、ダジャレの用法で考えてみたいと思います。ここまでの連載ではアカデミックに!? ダジャレの「構造」に言及することが多かったのですが、今回は使い手のある方向、「用法」について述べます。