中国内陸部・重慶市の2011年の人口は2919万人、昨年は前年比+16.4%の高成長を見せた。重慶では今年2月以降、政治スキャンダルが勃発し、市トップの薄熙来が失脚。その後の重慶経済を見に先日、出張してみた。

 中国政府は重慶からドイツ、オランダに行く大陸横断高速貨物鉄道を建設中だ。完成すると11日間で欧州まで製品を運べるため、輸出の大基地になる。それを売り文句に重慶は海外企業の大規模工場を次々と誘致してきた。

 とはいえ、海外企業にとっては、今回の政治スキャンダルの決着を見極めないと、新規投資が行いにくい面がある。責任の追及がどのレベルにまで及ぶのか見えなければ、重慶市の役人にアプローチしづらい。また長期的には、都市開発に必要な莫大な資金を捻出し続けられるか、という不安もある。

 しかし、今のところは、重慶の経済に顕著な変調は起きていないようだ。薄熙来の後任に任命された新書記は、中央政府の副総理を兼務している張徳江である。彼は経済政策に関しては、薄熙来の路線を基本的に変更していない。沿岸部経済が減速している中で、重慶経済を失速させるのはまずい、との判断が中央政府にもある。

 重慶でちょうど国際モーターショーが開催されていた。中国のモーターショーは単なる見本市ではなく、大規模な即売会の場でもある。初日の6月6日は、合計1389台が売れた。廉価な中国メーカーも多数ブースを構えているが、初日の販売トップは独アウディだった。60台、10分間に1台という猛烈なペースで売れた。