「そろそろ、ジュエリーを買ってみよう!」と思っても、高額で服のように気軽に買いかえることができないジュエリーに対して、私たちの経験は圧倒的に不足しています。ですから、いざ「何か欲しいな」と思っても、何を買っていいのか、どこで買えばいいのか、そもそも、どこにどうつければいいのかもわからない!という方は、多いと思います。そこで、ジュエリーディレクター・スタイリストとして大活躍中の伊藤美佐季さんに、著書『そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら』の中から初心者でも失敗しないジュエリー選びについて教えていただきました。

大人になればなるほど
似合うものが増えるのが、ジュエリー

イタリアマダムに学ぶ、ネックレスの着け方Photo by 成尾和見(SEPT)

ミニスカート、タイトなパンツ、高いヒール靴……。どんなものでも着られる若いうちは、おしゃれが楽しいもの。それが年齢を重ねると、着こなしが難しいものが少しずつ増えてきて、日々のコーディネイトにも頭を悩ませるようになってきます。こんな風に、多くは「年齢を重ねること=不安、いやなこと」につながってしまいがちですが、ジュエリーの場合は逆です。

長年ジュエリーに関わる仕事をしてきて思うのは、大人に似合うアイテムのほうが、ジュエリーには多いということ。カラフルな色石、華やかなゴールド素材、滋味のあるバロックパール。これらは、さまざまな経験を重ね、それなりの年輪が感じられる肌に着けたほうが、断然素敵。もちろん、華奢なネックレスなど、若い人のほうが映えるものもありますが、大人になるほど楽しめるものが増えてくるというのはとてもうれしいことですよね。

実際、海外で出会うマダムたちのこなれたジュエリー使いは、ため息が出るほど素敵。こんな風になれるなら、歳を重ねるのも悪くないと思えてきます。

あえて、見えないように着けるネックレス

イタリアマダムに学ぶ、ネックレスの着け方Photo by 成尾和見(SEPT)

私がイタリアにジュエリーの勉強をしに行っていた頃に出会った、素敵なマダムの、すばらしいジュエリーづかいをご紹介させてください。

その女性は、もう若くピチピチしたお肌の持ち主というわけではなく、それなりに日焼けをしたデコルテには、少しくすみも見られました。ですが、それを隠そうとするわけでもなく、シャツのボタンをいつも広めに開け、大きな口を開けて笑う、実に魅力的な方でした。そんな彼女が、これまた大きな身振り手振りで話す時、腕が動く度に、シャツの襟元からちらりちらりとパールのネックレスが見えるのです。

普通、ネックレスは洋服の上に「ほら見て!」という感じで着けるのに、彼女の場合は「見える人だけに見えればいい」という着け方。この高度なテクニックを、今なお鮮明に思い出します。

ネックレスは、襟の形とのバランスを考えなければならないので、効果的に着けるのがとても難しいアイテムだと『まさか似合ってないと思われてた?! ネックレスの正しい選び方とは』でお伝えしました。ですが、それを逆手にとって、彼女のようにあえて「積極的に見せない」という着け方もあるのです。

ドレッシーなシャツより、写真のようにカジュアルなワークシャツや、Gジャンなど、一見カジュアルなトップスの胸元から、ちらりとパールを覗かせたほうが、そのギャップでさらにかっこよく見えます。みなさんもぜひ、試してみてくださいね。

そろそろ、ジュエリーが欲しいと思ったら』の中では、ほかにもたくさんの素敵なジュエリーの着け方をご紹介いています。また、初めてジュエリーや時計を買うという方におすすめのアイテムや、ブランド。おすすめのモデルなども、たくさんご紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。

伊藤美佐季(いとう・みさき)
ジュエリーディレクター、スタイリスト。ジュエリーの広報機関のPRを経てイタリア・フィレンツェに遊学、帰国後スタイリストに。つける人の個性を活かす洗練されたスタイリングは、女性誌のほか多くの女優からも支持されている。ジュエリーブランドへのアドバイス、ジュエリーに関する講演などでも活躍。