ジョナサン・アイブジョニー・アイブ氏(右)とアップルCEOのティム・クック氏 Photo:AFLO

 6月28日から開催されたG20大阪サミットで、この数日のニュースは外交一辺倒。食傷気味の方も多いのではないでしょうか。そんな方に向けて、以下の米アップル関連のニュースを取り上げたいと思います。

●『ウォール・ストリート・ジャーナル』より
>>アップル最高デザイン責任者が年内退社、新会社立ち上げへ アップルを主要顧客に

 アップルの最高デザイン責任者(CDO)といえばジョニー・アイブ氏。テクノロジー界に身を置く者やインダストリアルデザインに関わる者なら知らぬ者はいないといわれる超有名人です。そんなアイブ氏が年内にアップルを退社し、独立したデザイン会社を立ち上げると、ウォール・ストリート・ジャーナルは伝えています。

 アイブ氏は1992年にアップルに入社。現在の同社の売上高は2655億9500万ドル(2018年9月期)ですが、アイブ氏が入社した当時はまだ70億8700万ドル(1992年9月期)。主力商品は「Apple II c」「Apple II GS」「Macintosh LC」「PowerBook」で、現在の同社の代名詞であるiPhoneやiPad、MacBookも誕生前。2011年に亡くなったスティーブ・ジョブズ氏が、アップルを追放されている時代でした。

 アイブ氏は、96年にジョブズ氏がアップルに復帰してから頭角を現し始めます。97年、アイブ氏はデザイン部門を率いる幹部に就任。ジョブズ氏の右腕として次々と歴史に残る製品を生み出しました。例えば、98年に発表された初代iMacは、カラフルな筐体で、パソコンに詳しくない人でも見たことがあるのではないでしょうか。その後、「スマートフォン」という新たな製品群を定義付けるほどのデザイン性を備えたiPhoneを世に送り出します。

 ジョブズ氏は徹底的に製品デザインにこだわり、決して妥協しない経営トップとして有名です。「偉大な大工なら、誰も見ないからといって棚の裏側にひどい木材を使ったりしない」という言葉を残したように、たとえユーザーに見えない内部の配線や基盤の配置に関しても、細かく指示を出していたといわれています。

 アイブ氏は、そんなジョブズ氏のこだわりや考えを形にしてきたデザイナーで、今も世界中に熱狂的に支持されている「アップルらしさ」を生み出した立役者なのです。