「中学受験」の算数がたった一度の体験で楽しくなる!親子で主体的に学ぶ方法生徒が主体的に学べる教え方はどのようなものなのか。教員も学び直している

ここ数年、中学入試では算数1科入試が広がり始めている。難関校の併願校が採用する例が多い。受験生の負担を低めつつ、その実力を端的に知るには算数の力を見ればいいからだ。一方で、文系を自覚している大人であっても、数学的な思考力は今後さらに問われていく。中高の数学の教員を養成しながら、数学科の教員のリカレントや子ども向けの算数教室など、幅広く活動している名城大学教職センター教授の竹内英人氏に、算数・数学を取り巻く状況の変化と、適切な学びのため親にもできることを聞いてみた。(ダイヤモンド社教育情報)

数学科教員を巡る状況

 当初、名城大学の数学科の学生のほとんどは、「将来、数学の先生になりたい」と考えて入学してくる。ところが、昨今の教員の長時間労働など、教員を取り巻く状況を知るにつれて、卒業時まで志を貫く学生は年々減ってきている。保護者が心配して教員の道から変更させるケースも増えてきている。この傾向は全国の大学でも顕著であり、特に難関大学では教員免許を取得するものの、実際に教員になる学生は激減しているという。

 数学は時代の花形である。就職先からは引く手あまた。教職の優先順位は低下する一方で、教員のレベルも如実に落ちてきているのだという。

 竹内英人教授は、大学院を出た後、愛知県立高校の数学科教員に就いた。当時は倍率50倍程の狭き門であったが、近年の中高教員の競争倍率は7~8倍程度、10年後には益々、下がる傾向が予想されるとみられている。東京都の小学校教員のように2倍程度までに倍率が低下すると、「誰でもなれる」状況になってしまう。

 そこで問題になるのが「教員の質の低下」である。これを誘発している原因の1つとして、学生自身の「学びの姿勢」の変化が挙げられる。

 教員採用試験の問題は大学入試問題とよく似ている。「数学は公式と解法パターンの暗記だ」と学校や塾で受験勉強の仕方をたたきこまれた学生は、合格して教員になることで、成功体験=自分が正しいと思ってしまう。ここに、竹内教授が「悪の再生産」と呼ぶ落とし穴がある。以下、竹内教授にこうした状況について語ってもらおう。