「スマートなガラケー」、新興国で人気爆発Photo:Hindustan Times/gettyimages

【ニューデリー】世界の「次の10億人ユーザー」が熱い視線を送る携帯電話は、韓国のサムスン電子や米アップルのようなトップメーカーが作るスマートフォンの最新機種ではない。実際、この端末はスマートフォンですらない。

 西アフリカからインド、インドネシアまでの新興国市場でインターネットを初めて使う大勢の消費者は、価格25ドル(約2700円)ほどの新型端末でウェブに接続している。端末は一見、かつて一世を風靡(ふうび)したフィンランド・ノキアの従来型携帯電話(フィーチャーフォン、日本で言う「ガラパゴス携帯」=通称「ガラケー」)に似ている。だが安価なモバイルデータが後押しするこの種のハイブリッド型電話は、電話やテキストメッセージだけでなく、基本的なアプリやインターネットアクセスも提供するのが特徴だ。

 この電話は「スマートフィーチャーフォン」と呼ばれ、携帯電話業界でも急成長している分野ながら、最も知られていない部類に属する。そして世界の最貧困層が手軽にインターネット経済に参加する手段を提供している。

 調査会社カウンターポイントによると、世界のスマホ販売台数は昨年、市場の飽和に伴い減少に転じたが、スマートフィーチャーフォンの出荷台数は2017年から3倍増となる約7500万台に達した。今年はおよそ8400万台の出荷が見込まれる。

 別の調査会社ウィーアーソーシャルによると、先進国が次世代通信規格「5G」の普及に乗り出す一方で、世界中で約34億人が今もインターネットに接続できていない。彼らの大半はすでにネットにつながらない従来型の携帯電話を利用している。そのため、形状がほぼ同じで高速ネット接続が可能な機種への乗り換えは難しくない。