米自動車販売Photo:Reuters

• 予見的CM

 7月23日に公開された自動車大手フォード・モーター(F)のCM動画では、「42年間、全米で最も売れたピックアップトラックである」F-150の完全電気自動車モデルの試作車が、空の列車のみならず、ガソリン車である従来のF-150を42台も積載した列車を引いてみせる様子を映し出している。しかし、YouTube(ユーチューブ)での再生回数は金曜日の朝の時点で100万回に満たず、一般消費者の心を打ってはいないようだ。

 それでもフォードの動画には先見の明がある。電気自動車は未来の車だ。理由は二酸化炭素の排出量を削減し、ガソリンの使用量を減らすからだけではない。将来的には、電気自動車が、ガソリン車よりたくましく見えるようになるからだ。その暁には、大型のガソリン車愛好家たちも、電気自動車に乗り換えるだろう。

 しかし、株式投資家を悩ませているのは、かなり先にならないとその日は訪れないという点だ。もうけを出している企業はいずれも内燃機関自動車向け事業の比率が高く、株式のバリュエーションもそれに見合う水準になる。それに対して電気自動車に特化したメーカーとして最大手のテスラ(TSLA)は、利益やフリーキャッシュフローを生み出すことのできる信頼のおける企業には成長していない。