INF条約崩壊、NATOが迫られるミサイル防衛Photo:picture alliance/gettyimages

【ブリュッセル】米国とロシアのミサイル条約の崩壊が迫る中、北大西洋条約機構(NATO)は、西欧の諸都市を射程に入れたロシアのミサイルシステムへの対応を迫られているが、一方で軍拡競争を避ける必要もある。

 欧州の大国であるフランスとドイツは、他の同盟諸国とともに、1987年締結の中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱するとの米国の計画を支持している。米国はロシアが条約違反のミサイルを配備していると主張し、ミサイルが廃棄されない限り8月2日付で協定を破棄するとしている。ロシア政府は期限までに要求に応じる兆候を全く見せてこなかった。

 「われわれは事態がエスカレートすることは望んでいない」とNATOで勤務する欧州の上級外交官は述べた。「だが、われわれは団結しており、準備ができていることを示さなければならない。強い立場からロシアと交渉する必要がある」

 ドナルド・トランプ米大統領はNATOの存在価値に疑問を呈し、同盟諸国の軍事支出が少ないことを強く批判しており、これがNATOを揺さぶってきた。しかしINF条約の崩壊によって、欧州各国政府はトランプ大統領を支持するという不慣れな立場に立たされている。