NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」など、テレビで話題沸騰の「伝説の家政婦」志麻さん。「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日系)、「うまいッ!」(NHK総合)、「沸騰ワード10」(日本テレビ系)などにも出演。
あの志麻さんが、初めて書きおろした料理エッセイ・レシピ本、『厨房から台所へ――志麻さんの思い出レシピ31』が発売たちまち重版となり話題沸騰。読売新聞書評に掲載されたほか、第6回「料理レシピ本大賞in Japan」【エッセイ賞】の一次選考も通過したという。
レシピの背景にある波乱万丈のエピソードとともに、調理のコツも凝縮。ふだん家で食べたことのない「フランスのママン直伝のキッシュ」「梨リングフライ」「龍馬チョコレート」は絶品。
さらに、「母の手づくり餃子」「おばあちゃんのお煮しめ」「けんちょう(山口の郷土料理)」のなつかしの味から、「ゆで鶏のシュープレームソース」「豚肉のソテーシャルキュティエールソース」「子羊のナヴァラン」「ローストチキン」などのフランス家庭料理、「フォンダンショコラ」「カトリーヌ先生のそば粉のクレープ」などのデザート、1歳の息子お気に入りの「鶏手羽元のポトフ」まで、実に多彩なレシピがあるという。「3時間で15品」など、これまでのイメージとはまったく違う志麻さんが、あなたの前に突如、出現するかもしれない。
今回は、志麻さんの人生のターニングポイントとなった「子羊のナヴァラン」を志麻さんに紹介してもらおう。(撮影・三木麻奈)。

「子羊のナヴァラン」とは

伝説の家政婦・志麻さんが<br />フランス料理を志すきっかけとなった<br />〈子羊のナヴァラン〉

 今回のレシピ「子羊のナヴァラン」は春を思わせる一品です。なぜならこの料理は春野菜をつけ合わせることが多いからです。

 白ワインとトマトですっきりとやわらかく煮上がったラム肉の上に、たっぷりと色とりどりの野菜が散りばめられていて、ラム肉が苦手な人もきっと食べられてしまうのではないかというようなおいしさです。

 はじめてこの料理を知ったのは、調理師専門学校に通い始めてまもないころでした。
 それまではフランス料理なんて食べることも、見ることすらありませんでした。

 この料理はそんな私がフランス料理を志すきっかけになった料理の一つでもあります。

タサン志麻 タサン志麻
大阪あべの・辻調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業し、ミシュランの三ツ星レストラン(ジョルジュ・ブラン)での研修を修了。その後、日本の有名フランス料理店等で15年働く。2015年にフリーランスの家政婦として独立。「予約が取れない伝説の家政婦」と呼ばれるようになる。2017年2月、『沸騰ワード10』(日本テレビ系)で一躍話題となり、2018年5月、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でその仕事ぶりが放映され、クール最高視聴率を記録。現在も家庭に出向き、冷蔵庫にある食材で家族構成や好みにきめこまかく応じた料理に腕をふるうほか、「つくりおきマイスター養成講座」の講師や料理教室、食品メーカーのレシピ開発などでも活動。フランス人の夫と子どもと4人で暮らす。著書に、第5回「料理レシピ本大賞in Japan 2018」料理部門で「入賞」した処女作『志麻さんのプレミアムな作りおき』などがある。
【タサン志麻HP】
https://shima.themedia.jp/

 食べたことのない料理でしたが、どこかほっとするような温かさのある味でした。

 田舎に住む両親や、おばあちゃんにつくって食べてもらいたい。そう思ってフランス料理の道に進み、はや20年。
 両親にはいまだにつくってあげられていませんが、フランス料理にはこんなにおいしい料理がたくさんあって、多くの人に知ってほしいし、つくってもらいたい、食べてもらいたいとずっと思ってきました。

 幸いにも最近では、ラム肉がスーパーに並んでいるのをよく目にするようになりました。後は白ワインとトマトカット缶さえあれば家でもつくることができます。

 このように、フランスの家庭料理には、日本のスーパーで手に入るものでつくれるものもたくさんあるのです。

 ホームパーティなど、人をもてなすときはもちろんですが、煮込み料理は意外にも煮込んでいる間に手が空くので、ちょっとした片づけや洗いものをしたり、副菜をつくったり、子どもの相手をしたりすることもできて、普段の献立の一品にするのもおすすめです。
 まずはスーパーに行ってラム肉を探してみてはいかがでしょうか。

 本書にある私の思い出レシピは、冷蔵庫にある食材で意外と簡単にできます。第1回連載にカラフルなレシピを紹介しましたので、ぜひご覧いただけたらと思います。