水色のボトルが目印の森永製菓「森永ラムネ」。子どもたちから長年愛されてきた超定番商品だが、この数年、大人のファンが急増しているという。2018年に大人に向けて発売した「大粒ラムネ」は、一時は販売休止になったほど大きな話題を呼んだ。昔懐かしい森永ラムネが、なぜいま大人たちの注目を浴びているのだろうか。(清談社 真島加代)

ビジネスパーソンが
ラムネを買っていく

森永製菓マーケティング本部菓子第二マーケティング部・江原敦子氏「大人向けラムネ」の商品開発はなかなかうまくいかず、苦難の末、ようやくヒット作が誕生した

 森永製菓の「森永ラムネ」といえば、1973年に“食べるラムネ”として登場して以来、いまも愛される身近なお菓子のひとつ。

「おなじみのラムネボトルを模した『森永ラムネ』のメインターゲットは、小さなお子さんがいるお母さんです。子どものおやつとして購入する“買い与えニーズ”は、いまも大きな市場でもあります。その一方で、5年ほど前から受験生やビジネスパーソンなどが自分用にラムネを購入する、というケースが増えていきました」

 森永製菓マーケティング本部菓子第二マーケティング部・江原敦子氏は、森永ラムネの購入層が広がった理由について「SNSを中心とした口コミがきっかけ」と明かす。

「2014年ごろに『二日酔いのときに森永ラムネを食べるとスッキリする』という内容の口コミが、インターネットを中心に拡散されたのがはじまりだったようです。また、森永ラムネにはぶどう糖が90%含まれているのですが、メディアを通してぶどう糖に期待されるさまざまな効果に注目が集まったことも、ラムネブームを後押ししました」

 ぶどう糖は脳のエネルギー源でもあり、SNSの口コミやぶどう糖ブームが到来。2015年度にはラムネの売り上げが前年比の120%の伸びを記録した。子ども向けの商品棚にあるボトル入りの森永ラムネをビジネスパーソンが買っていく、という現象が起きたという。