テクノロジーは人を幸せにする手段 花王代表取締役社長執行役員 澤田道隆Photo by Nanako Ito

消費財メーカーの中で、ひときわ明確にESG(環境・社会・ガバナンス)戦略を打ち出す花王。経営戦略転換の背景にある技術革新や、若年層の志向の変化をどう見ているのか。澤田道隆社長に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 相馬留美)

「簡単便利」が生む時間で
人間らしさを取り戻す

――技術革新には表と裏があると発言されました。技術の「裏」で、気になる点は何ですか。

 今後、AI(人工知能)やロボットが登場する第4次産業革命において、それらの技術をいかに使いこなし、人の存在をどう考えるかを課題として捉えています。

 テクノロジーは、人を幸せにする手段なのに、人がテクノロジーに使われるようになってしまう。人本来の素晴らしさをあらゆる角度から見つめ直すというリベラルアーツ(教養教育)が重要になるでしょう。

 人と人の間、そして人と社会の間をいかに埋めるか。そこを考えたときにESGはその中心、ど真ん中になります。

――ロボットなどの技術が普及したときに、人間にできることは何でしょうか。

 人間らしさとは何かを追求しないといけません。

 例えば、洗濯用洗剤ならば「簡単便利」「時間短縮」を実現すると、利用者の時間の余裕を生むことができます。その余裕時間は、人と人とのつながり、家族とのコミュニケーションに使えるはず。そうした形で、テクノロジーを使って人間らしさを取り戻すということを、われわれなりに提案しています。

 ただ実際は、そうして空いた時間をスマートフォンに奪われている。そこに課題があるのでしょうね。

 あと、ロボットは疲れないので改善ができないんです。人間は疲れるから、いろんなことに気付く。

 例えば工場のラインで、ロボットは何かに失敗したときに、エラーで知らせることはできます。しかし、次は失敗しないような改善の工夫を発想することはできません。