セミ実はあまり生態が明らかになっていないセミ Photo:PIXTA

セミの最期をセミファイナルと呼ぶ
ブラックジョーク

『生き物の死にざま』書影『生き物の死にざま』 稲垣栄洋著 草思社刊 1400円+税

 夏の風物詩であるセミファイナル。虫嫌いの私にとっては恐怖でしかない現象のひとつである。セミファイナルといっても一般的に使われるsemifinal「準決勝」の意ではない。ネット上で使われている下記の意味の言葉である。

“昆虫であるセミ(蝉)が人生の最期を迎える(セミの死骸など)のを指して「セミファイナル」と呼ぶブラックジョークも見られる。仰向けで転がっていたセミが実はまだ瀕死状態で生きていたというパターンもあり、これに接近すると、けたたましく鳴きながら暴れることがままあり、(主に虫嫌いの人の)心臓にダメージを与えてくるトラップとなっていることもある。この状態のことをセミファイナルと呼ぶこともある。この場合、最後のあがき=ファイナルといったところであろうか。別名「セミ爆弾」とも言う。(pixiv百科事典より)”

 この状態のときに転がっているセミたちは最期を迎えるときにいったいどこを見ているのだろうか?彼らが見ているのは澄みきった空だろうか。それとも夏の終わりの入道雲だろうか。セミは仰向けの状態でいるのだから、私はてっきり空のほうを見ているのだと思っていた。しかし蝉の目は背についているので、彼らが最期のときに目にするものは、幼虫の間に長い時間を過ごしてきた地面であるそうだ。なんだか少しせつない。