今、社長の人も、これから社長を目指す人も、さらにレベルアップ、スキルアップするためには、何をどうすればいいのでしょうか? 人気コンサルタント小宮一慶氏の最新刊『社長の成功習慣』(ダイヤモンド社、9月5日発売)は、経営者になる人にぜひ身につけてほしい50の行動習慣について解説した社長のための教科書です。本連載では、同書から抜粋して、経営者としていっそう成長するためのポイントについてお伝えしていきます。

4番の自動改札機は通らない<br />という習慣はありますか?Photo: Adobe Stock

改札機に番号が振られていることをご存じですか?

  前回ご説明した新聞を読むというのは、関心の幅を広げるための手段の一つです。

 環境変化を読む能力を高めるには、いかに関心の幅を広げるかが鍵になるといってもいいでしょう。

 私は験(げん)を担(かつ)ぐのが好きなので、電車に乗るときは4番の自動改札機は通りません。だいたい験の良い数字である1番や7番、8番などの改札機を選んで通ります。

 この話をすると、「改札機に番号がついているんですか?」と聞かれることが少なくありません。

 みなさんは、改札機に番号が振られていることをご存じでしょうか?

 毎日、JRや地下鉄などを使って通勤しているという人でも、改札機の番号に気づいていないという人は意外と多いのではないでしょうか(たいてい下の部分に番号はついています)。

 このように、同じように歩いていても「気づく人」と「気づかない人」がいるのは「関心の幅」が異なるからです。
きっとみなさんは、このあと改札機を通るときに番号がついているかどうか見ようとするでしょう。それが、「関心を持つことで見えるようになる」ということです。

 関心を持っていないことは、目に入ってきて何万回見ていても見えてはいないのです。ですから、たくさんのものをきちんと見るためには「関心のフック」を増やす必要があります。フックがあれば、自然とたくさんのものが引っかかり、目に見えるようになります。

 たとえば、私がコンサルタントとしてお付き合いしている会社の中に自動ドアを扱っているところがあります。このため、私は自動ドアを見るたびに「これはどこのメーカーのものかな」と気になってチェックしてしまいます。ドアのシールを見れば分かるので自然に目に入ります。

 「関心のフック」があるので、自然とアンテナに引っかかってくるわけです。

 ちなみに自動ドアというのは1つの例で、私がコンサルタントとしてお付き合いしている企業は幅広い業種にわたるので、私は多くのことに関心があり、その分「関心のフック」に引っかかるのです。

 また、当社の会員になってくださっている方は多くが中堅・中小企業のオーナー経営者さんで、その方々から業界の人しか知らないようなさまざまな話を聞くこともあります。それに、私は本業のコンサルタントのほかにテレビでコメンテーターを務めたりメディアで連載を持って物書きをしたりもしていますから、「関心のフック」はどんどん増えていきます。

 すると、新聞を読んでいてもヤフーニュースを見ていても、次から次へと「引っかかる」ものが出てくるのです。そして引っかかったものを「あぁ、あのときに聞いた話はそういうことか」などと頭の中で結びつけていくうちに、脳の中のデータベースが充実していくことになります。

 「小宮さんは、どうしてそんなことまで知っているんですか?」などと驚かれることがありますが、関心の幅が広がりさえすれば、おのずと「見えなかったものが見える」ようになるという話なのです。