上場企業が付き合いたくない銀行ランキング、メガバンクの順位に異変

「銀行・証券断末魔」特集(全5回)その3は、上下編に分けてお届けする。今回のその3(下)で迫る問いは、企業が付き合いたくない銀行はどこなのか――。上場企業を対象にアンケートを実施し、107社から回答を得た。その結果を6年前のランキングと比較すると、三井住友銀行の評価が改善するなど、メガバンクの順位に大きな変化があった。なお、前編であるその3(上)「『付き合いたい銀行・付き合いたくない銀行』2000人大調査」では、全国の利用者2000人にアンケートを実施し、信頼感や利便性などに関して個別の銀行に対する本音を浮き彫りにした。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

メインバンク「必要」が9割
“金融危機時の保険”との理由も

 銀行が力を落としている時代にあって、これまで融資を受け、担当者と向き合ってきた企業は現在、銀行のことをどのように見ているのだろうか。

 これを探るため、ダイヤモンド編集部は2019年8月下旬に、時価総額が大きい上場企業約1350社(銀行や証券会社などを除く)にアンケート調査を実施し、107社から回答を得た。

 メインバンクの必要性や「付き合いたい銀行」「付き合いたくない銀行」について質問し、回答を集計したところ下記のような結果となった。

「これからもメインバンクは必要だと思うか」という問いに対して、「はい」と答えた企業は98社(回答企業の91.6%)。「いいえ」と答えた企業は9社(8.4%)だった。

 その理由(複数回答可)を見ていこう。メインバンクが必要な理由の1位は「いざというとき頼りになる」で、必要だと思っている企業の実に85.7%、84社が根拠として挙げた。

 財務や経理の担当者からは「複数の銀行と取引しているが、もしものときに、メインバンクの方針が重要になるから」(建設)、「万が一の場合に、頼りになる存在としてあり続けてほしいから」(小売業)といった見解が寄せられた。

「金融危機のときに保険になる」(機械)と答えた企業もあった。08年のリーマンショックから11年たつが、当時の世界的な経済危機は金融市場だけではなく実体経済にも深刻な影響を及ぼした。

「米中貿易戦争の激化で先行き不透明感が強まっている」(化学)ことも、企業に苦しかった当時の記憶を思い起こさせているようだ。

 メインバンクが必要な理由の2位は「資金需要がある」(42社)、3位は「代替手段がない」(2社)との回答だった。

「その他」(自由回答)の理由として挙げられたのは、「メインバンクを通じて店舗物件や不動産情報が得られる」(小売業)、「さまざまな金融手法の情報を提供してくれる」(建設)といった意見だ。メインバンクの情報力への期待が読み取れる。

 このほか、「当社の課題を共有し、解決の手助けをしてくれるメインバンクは必要」(卸売業)といった、銀行のコンサルティング機能を重視する向きもあった。

「短期の資金繰りで融通を利かせてくれる」(陸運)といった、メインバンクならではの本業の融資における手厚いサービスを評価する声もあった。