プロ野球セ・パ誕生60周年を記念した「U-26NPB選抜対大学日本代表」の交流試合が今度の日曜日、11月22日に東京ドームで行われる。プロ野球と学生野球の現役選手選抜チームの対決は史上初である。

 もっとも過去に「プロ対学生」の交流試合がなかったわけではない。1995年には東京六大学野球連盟結成70周年を記念して東京六大学の「学生選抜対卒業生プロ選抜」の試合が行われた。ただし、この時のプロは現役引退後の選手で組まれたチームだった(試合は10対5でプロの勝利)。

 プロと学生の現役選手同士の対戦が実現したのは2001年。東都大学野球連盟創立70周年を記念した東都大学リーグの「学生選抜対卒業生プロ選抜」である(試合は学生選抜が6-4で勝利)。また、2006年には明治神宮外苑創建80年を記念して神宮球場をホームグランドにするプロ・東京ヤクルトと東京六大学の学生選抜の交流戦が行われた(試合はヤクルトが3-2で勝利)。

 だが、これらの試合は同じ学生野球連盟の先輩後輩のつながりやホームグラウンドが同じであるという縁があっての対戦。今回はそうした枠を取り払い、プロ側も学生側もオープンに選手を選抜し対戦する点で画期的なのである。

戦前から続いた
プロと学生、対戦禁止の歴史

 MLBのチームはシーズン前のオープン戦で大学生チームと試合をする。日本でもサッカーはJリーグチームが天皇杯で学生チームと対戦するし、日本代表が大学生、時には高校生チームと練習試合を行ったりする。なぜ日本の野球界ではプロと学生の対戦がこれまでほとんど行われて来なかったのだろうか。

 プロとアマチュアの厚い壁があったからだ。

 プロと学生の対戦が禁じられた歴史は戦前までさかのぼる。その原点となったのは1932年(昭和7年)に文部省が発令した「プロと学生は試合をしてはいけない」とする野球統制令だ。

 実は当時、日本にプロ野球は存在していない。日本職業野球連盟が発足したのは1936年だから、その4年後である。プロがないのに、このような発令が出されたのは、1934年にベーブ・ルースらがいたメジャーリーグ選抜チームが来日し全日本チームと対戦することになっていたからだ。全日本としては勝てないまでも善戦はしたい。そこで超高校級の投手だった沢村栄治ら高校生選手を駆り出そうとした。が、学校は青少年の健全育成の場であり学生の本分は勉強。野球に熱を入れることでそれがおろそかになってはいけないと、統制令を出したわけだ。