日本銀行消費増税後に政府がとるべき対策は、財政拡大や金融緩和ではない Photo:PIXTA

消費税対策が
上積みされる可能性も

 10月1日の消費税率引き上げが、いよいよ目前に迫ってきた。先日行われた内閣改造後の新内閣の最初の大きな仕事が、経済の分野ではこの消費増税への対応となる。

 2014年に実施された前回の消費増税の際と比べれば、駆け込み購入の動きはかなり限定的だ。これは、増税後の反動減もまた大きくならないことを意味しており、この点も踏まえ、消費増税が国内経済に直接与える悪影響は大きくならないと考えられる。

 それでも、増税前の駆け込み購入とその反動が、多少なりとも生じることは避けられない。それは、個人消費を中心に経済指標を一時的に下振れさせる。これに海外景気の減速が加われば、国内経済の先行きに不安が広がっていくことになるだろう。

 そうした場合、政府がすでに実施を決めている2兆円の消費税対策の規模を、かなり上積みする可能性が出てくる点に注意したい。6月に閣議決定された骨太方針(経済財政運営の基本方針)では、「海外発の下方リスクが顕在化する場合には、機動的なマクロ政策を躊躇なく実行する」とされた。消費増税の影響、海外景気減速の影響を打ち消すため、政府は年内にも消費税対策の上積みを決める可能性がある。

 野党やメディアなどから「改憲論議よりも景気安定化を優先すべき」といった批判に応えるため、そして、消費増税が景気を悪化させたとの国民の認識が、次の衆院選挙に悪影響を与えることを回避するため、少なくともできる限りのことをやった、との証拠を残しておくことが政府にとっては重要となる。