アマゾンのロゴPhoto:Reuters

 アマゾン・ドット・コムとウォルト・ディズニーが真っ向からぶつかっている。アマゾンの動画配信端末「ファイアTV」にディズニーのアプリを搭載する条件をめぐり争っているのだ。両社の対立は、ストリーミング経済における新たな勢力争いを象徴している。

 事情に詳しい関係者によると、アマゾンはディズニーに対し、アプリ上の広告スペースのかなりの部分を渡すよう要求している。これにディズニーが抵抗しているという。関係者の一部は、両社の合意を楽観視していると述べる。しかし、仮に物別れに終われば、ファイアTVからディズニーのアプリは削除される可能性がある。

 ディズニーはテレビ局ABCやスポーツ専門チャンネルESPN、ディズニー・チャンネルなど、傘下企業の複数のアプリを有している。また11月12日からは動画配信サービス「ディズニープラス(Disney+)」を開始する予定 。関係筋によると、足元の両社の対立が一因となり、ファイアTVにディズニープラスのアプリを搭載するか、まだ決まっていない。交渉の期限は現時点で不明だ。

 ファイアTVはネットのコンテンツをテレビ画面に映し出すメディア端末で、自社のプライム・ビデオやネットフリックスなどさまざまなアプリを扱っている。ストラテジー・アナリティクスによると、米国のストリーミング端末市場では29%のシェアを占め、Roku(ロク)に次ぐ2位の座にある。

 アマゾンとディズニーの対立は、動画を配信する側と制作する側の複雑かつ時に緊迫した関係を映し出すものだ。ファイアTVやロクなどが提供するストリーミング端末は、消費者と動画をつなぐ重要な接点となっており、従来のテレビ業界でケーブル会社が果たした役割を担うようになっている。