二酸化炭素削減の決め手「人工光合成」を日本がリードする可能性二酸化炭素削減の「決め手」といわれる新たな取り組みが、日本で進んでいる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

ノーベル賞のリチウムイオン電池
実は二酸化炭素削減にも貢献

 2019年のノーベル化学賞に旭化成・名誉フェローの吉野彰氏が選ばれました。日本人として27人目の受賞を誇らしく思います。本当におめでとうございます。

 吉野氏と同じく、テキサス大学のジョン・グッドイナフ教授、ニューヨーク州立大学のスタンリー・ウィッティンガム特別教授のお二方も同時に受賞しました。授賞理由はリチウムイオン電池の発明です。人類が電池を発明して200年以上が経ちますが、これまで世に送り出された電池の中でもリチウムイオン電池が最も革命的とされています。

 リチウムイオン電池の出現によって、モバイル中心のデジタル時代が幕を開けました。将来的には電気自動車に搭載されることによって、異常気象の原因とされる二酸化炭素の削減にも大いに貢献すると期待されています。

大規模化する自然災害
背景に石油由来エネルギーの消費

 近年の異常な猛暑、冷夏、干ばつ、集中豪雨は、世界中でかつてないほどの自然災害の被害につながっています。ノーベル賞週間の最中にも台風19号が襲来し、土砂崩れ、河川決壊など東日本を中心に甚大な被害をもたらしました。

 日本の台風、インド洋のサイクロン、カリブ海のハリケーンと呼び名は異なりますが、熱帯性低気圧による暴風雨が年々その破壊力を強めています。これらも記録的な夏の気温の上昇と海水温の高止まりが原因のようですが、根底にあるものとして、化石燃料に由来する二酸化炭素による温室効果が挙げられます。

 私たちの普段の暮らしは、石油由来の製品だらけになっており、人類が掘り出して使った石油の量はすでに1兆リットルに及んでいるとも言われます。その石油のうち、化学製品などの原料として用いられるのは2割にとどまり、残りはすべてエネルギー源として発電や輸送に費やされています。