ランチェスター戦略とは、弱者が強者に勝つための戦い方のルールのことです。イギリス人のエンジニア、フレドリック・ランチェスターが第1次世界大戦の時に導き出した戦い方の法則がルーツです。それを故田岡信夫氏が経営活動における販売戦略・営業戦略として体系化しました。本連載の第1回目は、そもそもランチェスター戦略とは何なのか、なぜ今、ランチェスター戦略が必要なのかについて説明します。また最後に、No.1になった2つの企業事例をランチェスター戦略の観点からご紹介しましたので、あわせて参考にしてください。

弱者と強者の戦い方は「まったく違う」

 ランチェスター戦略によれば、弱者と強者の戦い方は「まったく違い」ます。

 強者である企業と、弱者である企業の戦い方は180度違うといってもいいのです。

 だから、中小企業の社長や小さな部門のリーダーがMBAに出てくるようなリッパな戦略を学んでも、あまり役に立ちません。

 なぜならそれは、強者にだけあてはまる場合が多いからです。

 そしてさらに、MBAに出てくるような戦略は難しすぎてわれわれ凡人にはよくわからない……。

 そこで、弱者である中小企業には、弱者のための戦略=ランチェスター戦略を勧めるのです。

 もう10年ほど前の話になりますが、以前に私は、業界特化型の人材派遣会社をまったくゼロから立ち上げ、事実上、日本一にしたことがあります。

 小さいながらも、売上、利益、利益率で日本一の実績をつくりました。

 その後、多くの人から「なぜ、日本一の会社がつくれたのですか?」と質問されました。しかし、そう聞かれてもうまく説明ができなかった――。

 その理由を探し求めて、さまざまな理論、戦略を研究した結果、ようやくたどり着いたのが、【No.1になるための原理原則であるランチェスター戦略】だったのです。

 ここにその答えがあったのです。