個人投資家に「買ってもいい」と言える運用商品は少ない。(1)運用の中身のわからない商品、(2)実質的な手数料のわからない商品、(3)同類の商品よりも手数料がはっきり高い商品は、金融論的にも実践的にも「明らかに買えない」し、投資家は「検討する必要さえない」。(1)の観点で仕組み商品やヘッジファンド、プライベートバンクなどが消え、(2)で生命保険の大半が消え、投資信託を相互比較すると(3)の観点で9割以上が消える。

 また、独自性のある商品でも、(4)手数料が高過ぎるものはダメだし、(5)経済的価値の生産に資本を提供する「投資のリスク」はいいが、ゼロサムゲームの「投機のリスク」を取るのは「遊び」だ。

 どんな商品でも年間1%以上の手数料は高い。リスク商品でもできれば0.5%以内に抑えたい。また、外国為替および金などの商品相場のリスクは投機のリスクだ。

 こうして考えると、「買えない商品」を挙げるより、「普通の個人」には「買える商品」をすべてリストアップするほうが便利に思える。

 まず、「短期の金利物」のカテゴリーでは、銀行の普通預金(ただし、1人1行1000万円が上限)、MRF(マネー・リザーブ・ファンド)の二つか。

 後者は、投信であり信託銀行に資産が保管されているので、販売金融機関の経営リスクを心配しなくていい。流動性的には短期とはいえないが、半年単位で金利が変動する個人向け国債「変動10年」型も、いわゆるペイオフ対策にはいい。将来金利が上昇したら、これらの商品と普通預金は利回りの差が今よりも大きくつきそうだ。

「中・長期の金利物」では、個人向け国債の「変動10年」か「固定5年」か、新型窓販国債ということになろう。社債は、個人が信用リスクを判断できないし、取引情報面で不利でもあり、不適格だ。