14日は世界糖尿病デー、高血糖の方は食事改善を写真はイメージです Photo:PIXTA

 毎年11月14日は「世界糖尿病デー」だ。

 3月に公表された「2017年患者調査の概況(厚生労働省)」によると、日本の糖尿病患者数は328万9000人で、14年の調査から12万人以上増加した。

 一般に「死なない病気」と思われがちな糖尿病だが、実は年間およそ1万4000人が糖尿病で亡くなっている(厚労省・人口動態統計17年版)。実際には、これに糖尿病に伴う心血管疾患死やがん死、肺炎など感染症による死亡の一部が加わると考えられる。

 生活習慣から発症する2型糖尿病の場合、高血糖を放置すると、10~20年のうちに糖尿病網膜症や神経障害(手足のしびれ、発汗異常、勃起障害など)、糖尿病腎症を発症。また、心血管疾患リスクも非糖尿病患者に比較し、およそ2倍に上昇する。自覚症状が乏しいからと油断していると、文字通り命取りになりかねない。

 健康診断などで高血糖を指摘された場合は、すぐに「健康的な生活」にシフトし、食事療法や運動療法を試みることだ。

 食事療法では、カロリー制限vs.糖質制限の論争が続いているが、米国では糖質制限に軍配があがりつつある。

 今年公表された「米国糖尿病学会の食事療法コンセンサス・レポート」では、「どんな食事タイプにせよ、実証された糖質制限を適応すること」と推奨された。

 つまり、和洋中華、地中海食、あるいはベジタリアンなど個人の食嗜好を尊重しつつ、とにかく「糖質制限」を行うべしというわけだ。このほか、野菜や豆類、全粒穀物から食物繊維をしっかり摂る、加工食品よりホールフードを、などが推奨されている。

 ちなみに3年ぶりに改訂された日本の「糖尿病診療ガイドライン(2019)」では、あくまでも総カロリー制限を推奨。低炭水化物食(低糖質食)に関しては、一定の見解が得られていないとして明言を避けた。

 幸い日本では低カロリー食、低糖質食共に店頭で入手できる。コンビニエンスストアでお弁当を買うときは、カロリー表示と糖質、食物繊維の表示を確認しよう。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)