「麻布→東大卒」でありながら「プロゲーマー」という経歴が、世間の話題となったときどさん。しかし順風満帆だった彼のプロゲーマー人生は、ゲーマー20年目の2013年ごろに壁にぶつかった。格闘ゲームのeスポーツ化による環境の変化によって、全く勝てなくなったのだ。
2冊目の著書『世界一のプロゲーマーがやっている 努力2.0』では、そのV字回復の軌跡を紹介しながら、ときどさんが毎日やっている「努力のやり方」を紹介している。「圧倒的に変化が激しい」eスポーツの世界で戦うために、必要なこととは何か。
今回は、学生なら受験や就職面接、社会人ならプレゼンなど、「本番」と言われる場面で力を発揮するコツについて語ってもらった。(文/山本奈緒子)

東大卒プロゲーマーがやっている、勝つための「食事」と「睡眠」

 前回の記事では、本番で力を発揮するための「準備」の大切さについてお伝えしました。本番で力を発揮するためには、体調を整えて「脳をクリアな状態にしておく」ことも非常に重要です。プロゲーマーの僕がいつも本番前にやっていることを3点お伝えします。

①本番前、1週間の糖質制限

 僕はここ2年ぐらい、いろんな食事法を試して、最近ようやく自分のベストの方法が完成しました。これはあくまで僕の場合ですけど、大会1週間前くらいから本番前まで糖質制限をすると、圧倒的に頭がクリアになります。

 甘いものや白米の誘惑に負けないために、いつもナッツを持ち歩いて、口寂しくなったら食べるようにしています。

②「眠くならない」だけで強い

 すごくシンプルなことですが、「本番で眠くならない」ことは非常に重要です。「当たり前だよ!」と思ったかもしれませんが、意外にできている人が少ないと感じます。

 実際、ゲーマーでも時差ボケが抜けないまま大会に出場している選手はたくさんいます。僕は密かに、大会が開催される国でその国の選手が活躍することが多いのは、参加者数そのものが多いということもありますが、「時差調整の必要がない」ということも理由に挙げられるのではないかと思っています。

 僕は昔、1日の練習時間が10時間でしたが、プレイスタイルや練習の方針を見直し、最近は3時間になりました。その分、毎日8時間は睡眠を確保するようにしています。

③本番直前に「全力疾走」

 僕は、緊張を解くために、本番前に「その場ダッシュ」をしています。 “動揺”というのは心拍数が上がって冷静な判断ができなくなる状態です。対策として、一回心拍数を上げておくことで、体がその状態に慣れて、いつも通りの動きが取りやすくなるのです。先日の大会ではやり過ぎてしまって、本番は足がめちゃくちゃ痛かったです(苦笑)。この方法は、プレッシャーがかかる受験や面接、プレゼンの前などにもおすすめです。