TV『嵐にしやがれ』に出演し、隠れ家ARASHIの「コーヒー講座」で、嵐の松本潤さんに「究極のカフェオレ」を披露した、ワールド・バリスタ・チャンピオンの井崎英典氏。井崎氏が考案した、その究極のレシピを初公開。これで誰もが自宅で淹れられる!

コーヒー好きにとって、「ブラック」で飲むことは常識かもしれない。コーヒー豆の魅力を最大限に引き出し、豆本来の個性を楽しむものだと。だから、牛乳を入れる「カフェオレ」を邪道だと言う人も少なくない。

だが、濃いコーヒーにたっぷり牛乳を入れた、独特のコクや香りに魅了される隠れファンもいるのではないだろうか?世界で活躍するトップバリスタの井崎氏も、カフェオレを愛してやまないと言う。

井崎氏の著書『ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方』では、美味しいコーヒーの淹れ方から、魅惑のコーヒー・レシピまでを紹介しているが、今回は話題の「究極のカフェオレ」の淹れ方を解説する(撮影:京嶋良太)。

TV『嵐にしやがれ』で<br />ワールド・バリスタ・チャンピオンが淹れた、<br />「究極のカフェオレ」とは?

私がカフェオレを愛する理由

初めまして、第15代ワールド・バリスタ・チャンピオンの井崎英典です。初めての方もいらっしゃると思いますので、簡単に自己紹介させてください。

現在は、株式会社QAHWA(カフア)の代表取締役として、主にコーヒーのコンサルティングに従事しています。

クライアントは日本、中国、イタリア、アメリカ、オーストラリア、インドネシア、シンガポール、フィリピンなどの、グローバルコーヒーチェーンやエスプレッソマシンメーカー、大手外食チェーン、中小規模のコーヒーロースターなどで、様々な企業の「コーヒーとビジネスの架け橋」として世界中でコンサルティングワークに携わっています。

16歳から父が経営する、博多の「ハニー珈琲」でバリスタを始めました。バリスタという仕事に没頭する中で、たった1杯のコーヒーで世界中の人と平等につながることができるコーヒーの魅力にとりつかれて、今にいたります。

日本テレビ系列『嵐にしやがれ』で放送された、隠れ家ARASHIの「ワールド・バリスタ・チャンピオンのコーヒー講座」というコーナーに出演して、嵐の松本潤さんにコーヒーを淹れる経験もさせていただきました。もしかしたら、この記事を読まれている方の中にも、番組をご覧になった方がいるかもしれません。

私はそこで、松本さんに「カフェオレ」を勧めました。「コーヒーはブラック以外邪道だ!」と言いそうなバリスタが、なぜカフェオレを勧めていたのか、不思議に思った方もいるでしょう。

その理由は単純明快です。カフェオレは、家族揃って楽しむことができる飲み物だからです。

カフェオレは、酸味や苦味が苦手という方でも、ちょっと背伸びをしたい盛りのお子さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、家族揃って楽しむことができる極めて平等な飲み物です。コーヒーが生み出す平和で温かい世界を体感できるので、とても気に入っています。

私は、コーヒーの入り口は何だっていいと思っています。コーヒーの奥深い世界に触れる一歩として気軽にカフェオレを楽しんでほしいと願っています。

この記事では、幾度となくアップデートを重ねた「究極のカフェオレ・レシピ」を紹介します。このレシピは、私がカフェオレ好きの妻を唸らせる味を追求して、考え抜いたレシピです。ぜひ、愛する家族に、または自分への甘美なご褒美に「一手間」かけて作ってみてください。

面倒であれば、コーヒーを濃く抽出して、レンジでチンした牛乳を1対1で混ぜて飲む、というところからスタートしても構いません。

なお、コーヒーの淹れ方の手順がまだよくわかっていない方は、第6回の記事をご覧ください。「実演動画」も付けています。また、拙著『ワールド・バリスタ・チャンピオンが教える 世界一美味しいコーヒーの淹れ方』をお読みいただければ、詳しい手順や美味しく淹れるための理屈もわかると思います。

TV『嵐にしやがれ』で<br />ワールド・バリスタ・チャンピオンが淹れた、<br />「究極のカフェオレ」とは?

「究極のカフェオレ」を淹れる5つのポイント

(1)お湯「100g」:コーヒー豆「12g~14g」の抽出比率を守る
(2)牛乳は低温殺菌を選ぶ
(3)牛乳の温度を「40~60度」にする
(4)コーヒーと牛乳は「5:5」の比率を守る
(5)甘さが欲しい場合は、全体量の3%から5%のハチミツ/上白糖を加える

(1)の「抽出比率」とは、豆とお湯の理想的な比率を指します。プロの世界でも、こうした比率をもとに考えます。美味しいと感じる比率は人によって違いますが、そこにはある程度の国際的な基準が存在します。

抽出比率について詳しく知りたい方は、第1回の記事をご覧ください。感覚で淹れずに、スケール(電子秤)を使い、お湯や豆の「重さ」を量りながら淹れるようにします。

もしかしたら少し面倒くさく感じるかもしれませんが、初心者にとっては効果絶大です。感覚で調整する必要がなくなるので、失敗することなく、淹れるのがかえってラクになります。

私が考えるドリップコーヒーの「抽出比率」は、

「お湯100g : コーヒー豆6g」という比率です。

カフェオレの場合は、その倍以上の「お湯100g:豆12~14g」の比率になります。豆の焙煎度合いや粒度(挽き目)によっても大きく変わりますので、そのあたりは好みに合わせて調整してください。

ちなみに、お湯100gあたり豆「12~14g」というのは、お湯200gなら、豆は「24g~28g」使用するという意味です。

TV『嵐にしやがれ』で<br />ワールド・バリスタ・チャンピオンが淹れた、<br />「究極のカフェオレ」とは?

「究極のカフェオレ」レシピ

では、手順を解説します。

(1)「抽出比率」を決める
理想的な比率は、100gのお湯あたり、「12g~14g」のコーヒー豆です。幅をもたせているのは、好みによって調整できるようにしているからです。少し濃いコーヒーが好きであれば、14g/100gの抽出比率を選んでください。お湯を200g使用するなら、「28g」の豆を用意します。

(2)ドリップしてコーヒーの抽出量をスケールで計測する
スケールの上でコーヒーを抽出し、抽出量を量ります。なお、100gのお湯を使用して抽出しても、コーヒー豆が水を吸着するので抽出量が100gになることはないので注意してください。

(3)牛乳を用意する
(2)で計測した抽出量と「同じ量」の牛乳をスケールで計測します。コーヒーと牛乳は「5:5」の比率を守ること。牛乳は鍋でゆっくり弱火で温めてください。できれば温度計を使用して「40~60度」にするのがベストです。温度計がない場合は、鍋の牛乳がフツフツし始めたら、すぐに火を止めてください。

(4)コーヒーと牛乳を混ぜる
あらかじめ抽出しておいたコーヒーと、温めた牛乳を混ぜ合わせたら完成です。お好みで上白糖かハチミツを、全体量の「3%」から「5%」加えて、よく溶かせば完成です。