全世界でシリーズ累計100万部超のベストセラー『ブレイン・ルール』の第2作目にあたる『100万人が信頼した脳科学者の絶対に賢い子になる子育てバイブル』がついに日本上陸。「賢く幸せな子になってほしい」と願うすべての親のために、科学的に何度も「正しい」と認められた子育ての手法だけが紹介されている。本連載では同書より特別に一部を公開する。

「期待しない子育て」が脳にとてつもなくいいワケPhoto: Adobe Stock

過干渉は子どもの脳の発達に影響する

 ハイパーペアレンティングはお子さんの知能の発達を次のようなかたちで妨げるおそれがある。

(「過干渉の子育て(ハイパーペアレンティング)」についての記事はこちら

1.過度な期待は高次思考力の発達を妨げる

 子どもは親の期待に敏感だ。幼児は親をよろこばせたい、満足させたいとうずうずしている。だから幼児が、まだ自分の脳にはその準備ができていないのに、とんでもない知能の離れ業を親から期待されていると察すれば、当然、窮地に追い込まれる。すると脳は強制的に「低次思考」のレベルへと思考力を戻し、その場ではわかったようなふりをするけれど、あとになってみれば結局は身についていないという結果を招くことになる。

2.プレッシャーをかけられると、子どもは好奇心を失う

 子どもは生まれながらの冒険家だ。ところが親が教育一辺倒となり、厳しい指導ばかりしていると、子どもの好奇心は妥協へとかたちを変えてしまう。「これっておもしろいかな? どうなっているのかな?」と、好奇心をかきたてるような自問を重ねるのをやめ、「どうすれば権力者を満足させられるだろう?」と妥協するようになるのだ。

 探検をしたいと思っても、そうした行動を褒められることがなければ、やがて探求心は萎えていく。親が子どもに与えられるもっとも重要なものは、安全な暮らし(この場合は、子どもの存在を丸ごと認めること)である。

3.親が子どもに怒ったり、失望したりしていると、有害なストレスを生む

 そのちっちゃい脳ではまだできないことを、親が無理にやらせるのも、子どもの発達に害を及ぼす。「これをしろ」「あれをしろ」と無理強いしたあげく、子どもがその過大な期待に応えられないと、口うるさい親は失望したり、不機嫌になったり、怒りをあらわにしたりする。

 ところが、信じられないほど幼い頃から、子どもは親のそうした反応を敏感に察知する。そして、なんとしても親を失望させたり、怒らせたりしたくないと思うようになる。すると、子どもは「自分の力ではコントロールできない」と思うようになる。そうなれば心理学用語で「学習性無力感」の状態におちいり、子どもの脳に害が及ぶ。自分に向けられるネガティブな刺激(親の怒りや落胆)やその原因を、自力ではコントロールできないと思い込むようになるのだ。