不動産・開発危うい狂乱#13Photo:Assja/gettyimages

日本銀行は金融機関に“アラート”を出し、金融機関は不動産業向け融資の選別を始めた。垂れ流し状態だった蛇口をキュッキュッと閉める音がする。特集「不動産・開発 危うい狂乱」(全13回)の最終回では、異次元金融緩和によって生み出された異次元不動産市場に切り込む。国内の金融機関の不動産業向け融資残高が初めて100兆円を超えた。不動産市場は、狂乱の果てに終わりを迎えるのだろうか。(ダイヤモンド編集部 堀内 亮)

東証1部上場の不動産会社が
マンション約20棟を全て売却

 東証1部上場の不動産会社、スター・マイカ・ホールディングスは、一棟所有の収益不動産として保有していたマンション約20棟を2019年までに全て売却した。

 16~17年ごろから収益不動産に異常な過熱ぶりが見え始め、リーマンショック前の価格水準を大きく上回る収益不動産が出回ったことを受け、水永政志社長は、そろそろピークを迎えるとにらみ、19年までの3年間で売却する方針に踏み切ったのだ。

 所得も資産も小さい個人投資家が全額ローンのような過度なレバレッジをして不動産投資をするケースが散見されたことにも異常を感じていた。

 実際、18年に静岡県のスルガ銀行が、個人向け投資用不動産への融資で書類改ざんなどの不正を行っていたことが発覚した。いわゆる“スルガショック”をきっかけに、金融機関は個人向け不動産投資への融資を厳しくした。

 さらに、金融機関は提携していた不動産会社のスクリーニングを徹底し、たちの悪い転売目的の「三為業者」は一掃された。スルガショック前のように、大甘の審査で「サラリーマン大家」に融資する金融機関は、ほとんど消えつつある。

 それでも不動産投資で成り上がリッチを目指すという夢を諦められないサラリーマンにとっての救世主は東京の下町である台東区、東京から遠く離れた四国にいる。