2019年度9月期決算の売上高は過去最高、営業利益も増益となり成長を続ける株式会社サイバーエージェント。同社は「はたらきがいのある会社」としても注目度が高まっている人気企業だ。社員クチコミサイト「オープンワーク」のデータでは総合ランキング24位に食い込み、「職場の風通しの良さ」のスコアも2400社中46位にランクインしている。
過去には、3年連続離職率30%の暗黒時代もあった同社が変化したのはなぜなのか? CHRO(最高人事責任者)の曽山哲人氏に、『OPENNESS  職場の「空気」が結果を決める』の著者・北野唯我氏が組織づくりのポリシーを聞いた。(構成/樺山美夏)

サイバーエージェントの「風通しの良さ」を劇的に変えた採用基準とは

経営の重要なことほど「ブログ」で発信する

北野唯我(以下、北野) 前回の記事前々回の記事ではサイバーエージェントの「社員を大事にする」取り組み、「社員の自己開示性を高める」取り組みについて伺ってきましたが、「経営開放性」(経営者が社員にどれだけ情報を開示しているか)についてはいかがですか?

曽山哲人(以下、曽山) 社長の藤田をはじめとした経営陣がブログやSNSをやっているのが、一番わかりやすいでしょうね。藤田の場合、最近は経営上の大事な意思決定は必ずブログに書いてアウトプットしています。昨年1月、営業利益を300億円から200億円に下方修正したときも、半年後に200億円から290億円に上方修正したときも、すべてブログで報告していました。

役員だけの議論だけではなく、社外にも情報を出すほど覚悟を持って経営に取り組んでいることを、社内の人間にも見てほしいのだと思います。役員会議の時も、「これ、大事な話だからブログに書くよ」と言っています。

そうすると、たとえばツイッターでその情報を見た社員が補足してリツイートしたり、私や他の幹部が別の切り口でブログを書いたりして、情報に厚みが出ます。基本的に社員の発信も自由ですから。もちろんインサイダー情報はNGですが、何を書いても構いません。

北野 保守的な会社だと、マイナスの経営情報は秘密にしたり、広報チェックが必要だとかなんとか言いそうですが、やはりメリットのほうが大きいですか?

曽山 圧倒的にメリットのほうが大きいですね。「発信する人には応援が集まる」という考え方が根底にあるので、批判されるのも覚悟で発信し続けていると、必ず応援の声が増えていきます。やはり大事な情報まで外に出すと、本気度が伝わりますから。以前もお話したように、「地上戦」で1対1の関係性を重視するのは何より大事ですが、「空中戦」で外部にも情報発信していかないと組織としての熱量は伝わりにくいんです。

北野 たとえば他の企業の若手社員が、企業のオープネスを高めるためには、どんなことをすればいいでしょうか?