ダスキンのフランチャイズ加盟店(東京第1号加盟店)を現業として、2001年より中小企業経営者向けに経営コンサル事業を行う武蔵野は、史上初めて日本経営品質賞を2回受賞、 現在18年連続増収中という中小企業として驚異的な実績を誇る。1989年の就任当時、赤字続きのダメ会社だった武蔵野をピカピカの優良企業に変身させた小山昇社長が、悩み多き中小企業の経営者に、経営の極意を惜しげもなく語る。

小山 昇Noboru Koyama
武蔵野 代表取締役社長
1948年山梨県生まれ、東京経済大学卒。1989年、現職に就任。赤字続きの武蔵野を見事に立て直し、18年連続増収。2000年と2010年の2度にわたって日本経営品質賞を受賞。そのノウハウを活かして経営サポート事業を展開、730社以上の会員企業を経営指導し、全国で年間240回以上のセミナーを行う。『小さな会社の儲かる整頓』(日経BP)、『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』(ダイヤモンド社)など著書多数。

――史上初めて日本経営品質賞を2回受賞した武蔵野の経営の強みとは何でしょうか。

 一番の強みは人。それも「それなり」の能力の人で業績がいいというところですね。当社は社員256人で売り上げ75億円ですが、国公立大学卒の人は一人もおらず、東京六大学卒が3人だけ。それなのになぜ業績がいいのか。それは会社と社員の価値観が合っているからです。新卒はこの3年間で71人入ってきて、辞めたのは2人だけ。10年以上勤続の人でこの10年間で辞めたのは1人。会社と社員の価値観が合っていて、もちろん社員同士の価値観も合っている。価値観がそろっているから強いのです。

――1989年に社長に就任して赤字続きの武蔵野を立て直し、2000年には日本経営品質賞を受賞するまでになりました。その間に学んだ経営の要諦とは。

 とにかくたくさん失敗すること。トライして、失敗して、またトライする。トライ・アンド・エラーを繰り返すことで強くなっていきました。失敗を繰り返して私も変わったし、会社も社員も変わりました。

 2000年に経営品質賞を初めて受賞した際は超トップダウン経営でしたが、2004年からボトムアップの経営に切り替えて、2010年の2回目の受賞はボトムアップ経営が評価されました。経営者として一番大事なのは、失敗してもくよくよしないことです。ギャンブルで100回勝負で100回勝とうとは思わないでしょう。20回勝てば出来過ぎなくらいです。それくらいたくさん、とにかくトライすることです。

――社員の価値観をそろえて、トライ・アンド・エラーを繰り返すということですね。社員に会社の価値観をどう浸透させるのでしょうか。

 そこで、当社の特徴である「環境整備」や勉強会、研修が生きてくるのです。環境整備というのは、要らないものを捨てて整頓すること。1年使っていないものは無条件で捨てる。いつか使うかもしれないと思っても、絶対に使いません。そして、大事なのは整頓です。捨てるだけでは儲かる会社にはなりません。整頓することで儲かる会社になるんです。