JA大淘汰#9Photo by Hirobumi Senbongi

“闘う農協”が福井県にある。県内の農協が合併する中、唯一単独で生きる道を選んだJA越前たけふだ。冨田隆組合長は、金融事業の収益悪化を予測するが、それでも経営が成り立つ戦略を実行してきた。特集『農業激変 JA大淘汰』(全9回)の最終回では、門外不出の「JA生き残りの秘訣」を聞いた。(ダイヤモンド編集部 千本木啓文)

福井県の10JAが大合併
あえて「離脱」を選んだ越前たけふ

 福井県のJA越前たけふは、県内にある他の全10JAが今年4月に合併する中、単独で生きる道を選んだ。長いものに巻かれれば楽なことも多いが、冨田隆組合長は、大合併には加わらず「離脱」する道を選んだ。こうしたリスクを伴う決断は簡単にできるものではない。

 だが、その決断を下したのが冨田氏の農協だと聞けば驚かないJAグループ関係者は多いだろう。冨田氏は、ダイヤモンド編集部が作成する「農家が選ぶJA役職員ランキング」で毎回上位に入る改革派のリーダーなのだ。