新・村上ファンドの正体02Photo by Takeshi Shigeishi

村上世彰氏のグループが今、最も注力している案件が、3月27日に開かれる東芝機械の臨時株主総会だ。村上氏側が仕掛けた敵対的TOBに東芝機械は徹底抗戦し、ライツプランを絡めた防衛網を張る。一方で村上氏にはかつて買収防衛策の廃止提案が司法判断で否定された敗戦の経験がある。特集『新・村上ファンドの正体』(全5回)の#02では、因縁の雪辱戦の幕開けをレポートする。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)

東芝機械や下請け会社ら
「運命共同体」がTOBに猛反発

 東芝機械の源流は、第2次世界大戦前年の1938年に設立された、芝浦工作機械にある。

 軍需生産の拡大を急ぐ政府はその年、工作機械製造事業法を制定。芝浦製作所(現東芝)の子会社として誕生した芝浦工作機械は、いわば国策メーカーとして、戦時に不可欠な工作機械の生産を担った。

 戦後の復興期は繊維機械の生産で産業発展を支え、今も自動車や航空機、カメラなどに欠かせない部品の工作機械で高いシェアと技術を誇る。

「われわれには日本の産業発展を支え続けた自負がある。B to Bのビジネスであまり表に出ることはありませんが、人々の生活に欠かせない社会インフラの一部だと思っています」

 3月3日。戦時中に開所した主力の沼津本社工場(静岡県)に記者を集め、東芝機械社長の坂元繁友氏は、鋳物や機械加工の現場を自ら紹介して回りながら、そう強調した。