SFPPhoto by Hiroyuki Oya

店のコンセプトから料理の1皿に至るまで、外食産業の経営者は消費者の心をつかむスペシャリストだ。個性派ぞろいの「外食王」たちは何を考えているのか。連載『外食王の野望』で取り上げる外食トップのインタビューを通じ、そのノウハウをおいしくいただこう。今回は磯丸水産などを運営するSFPホールディングスの佐藤誠社長。地方の居酒屋と次々に提携を進めているという。その訳に迫った。(聞き手/ダイヤモンド編集部 山本興陽)

単一業態では、限界がある
新業態は、既存事業と全く異なることが鍵

――創業は鳥良ですが今の主力業態は磯丸水産。多業態戦略をどう考えていますか。

 単一業態で出店を重ね、数が多くなった弊害はたくさんあります。カニバリゼーションとか、客がどこかで飽きてくるとか。

 そのリスクヘッジのために、二つ目、三つ目の業態をしっかりつくっていくことが基本的な考え方です。

 鳥良から始まり、次に磯丸水産をしっかりつくって両輪になった。その他にもギョーザや大衆酒場など、三つ目、四つ目の業態が生まれてきている。すると複合的にリスクヘッジができます。この地域にもう一軒増やしたいと考えたときに、他業態があれば磯丸水産の隣にギョーザや大衆酒場もつくれます。カニバリゼーションも起きません。

――新業態を何にするかの判断基準はあるのでしょうか。

 今までメインだった業態と違うことを考えます。鳥良商店だったら、鶏料理と同じことをしない。バッティングを避けることが目的だから、鶏以外を考えると海鮮系になるんですよ。鶏と海鮮を避けて考えないといけないからギョーザになっちゃったりするし。

 また、柱の業態は店舗数を増やさないといけませんから、尖った業態は危ない。日常的に行きやすい業態を考えないとパイを奪えない。

 実はどの業態もさほど客単価は変わらないのです。魚を食べようかな、肉を食べようかなと、使い分けができる店にしています。