日本企業の特許数や特許出願者による投資水準、あるいは新たなブランドやキャラクターを生み出す創造力などは、いまでも世界のトップ水準にあるといわれる。それなのに、収益力や成長性を見るとグローバル市場での日本の存在感が低いのはなぜだろうか。そこには、知的財産(知財)や商標・意匠の管理やビジネス活用に関する戦略不足が大きく関係していそうだ。

知財・商標のライフサイクル全体を視野に入れた
ビジネス戦略が求められる理由

 「ブランドやキャラクターのネーミングをどうするかというところから、知財戦略はすでに始まっているのです」

 そう語るのは、元サンリオ常務として人気キャラクター「ハローキティ」のグローバルなライセンス事業展開をリードしたことで知られ、現在は米シリコンバレーを拠点にコンサルティング活動やスタートアップ企業の支援などで世界を飛び回っている、鳩山総合研究所代表取締役の鳩山玲人氏だ。

 海外でライセンス事業を展開しようとする場合は、事業を拡大する前の段階で商標や意匠などについて各国の登録情報、知財保護のルール、類似商品の有無などについて入念な調査を行う必要がある。

 そして、いざライセンス事業を始めれば、権利の侵害がないか各国の状況をモニタリングしたり、契約通りのビジネスが行われているかライセンス先を監査したりする必要もある。

 つまり、商標・意匠の初期調査から保護、監視までライフサイクル全体を視野に入れた知財戦略は、ビジネス成長のためには必須なのである。

 一方で、日本企業の海外進出が進むにつれ、商標侵害に関するニュースを耳にすることも増えてきた。著名な日本企業が中国における商標侵害訴訟で敗訴したニュースなどは記憶に新しい。

 グローバル市場でのビジネス展開は、今のところ欧米企業の方が日本企業より先行しているといえるだろう。クラリベイト・アナリティクスの調査「商標のエコシステム(2020)」によると、欧米主要5カ国の商標専門家のうち、2019年に商標侵害を経験した人の割合は85%、その中で侵害によって訴訟が起きた割合は75%に達している。

 クラリベイト・アナリティクス・ジャパン代表取締役の櫻井諭氏は、「ビジネスの成長機会を海外に求める日本企業が増える中で、商標侵害の状況はいずれ欧米のようになるでしょう」と予測する。

 知財・商標のビジネス活用、そして保護という、攻めと守りの両面から、しっかりとしたマネジメント戦略を確立していくためには、どうすればいいのだろうか。その点について、2人のエキスパートにインタビューした資料を用意したので、ぜひ役立てていただきたい。

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