今、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニング、アンガーマネジメントをパワーハラスメント(以下、パワハラ)防止に取り入れる企業が増えている。日本アンガーマネジメント協会では、企業や自治体など、あらゆる組織で双方向型の研修(集合型・オンライン型)を実施、パワハラ防止を支援している。

日本アンガーマネジメント協会
トレーニングプロフェッショナル
阿井優子氏

 日本アンガーマネジメント協会が昨年8月に行ったアンケート調査によると、回答者の約75%が「自分はパワハラをしていない」と認識。その一方で、職場内における言動の調査から、全体の60%以上がパワハラ予備軍であったことが判明している。また70%以上の人が「職場のパワハラは無くせない」と考えており、その理由の第1位が「人は感情のコントロールが苦手だから」という回答だったことが明らかになった。

 同協会の安藤俊介代表理事が、厚生労働省の「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」の委員に招聘され、今年6月から施行される“パワハラ防止法”の指針では、事業主に対して「感情をコントロールする手法についての研修」を求めるなど、アンガーマネジメントがパワハラ防止に役立つという認識は、広く浸透し始めている。

 同協会のトレーニングプロフェッショナルである阿井優子氏は、「パワハラの防止のためには、法律の理解に加えて、怒りの感情と上手に付き合うためのスキルが必須であり、その二つが車の両輪として機能することが非常に重要です」と説明する。