日本企業、緊急事態宣言#14写真:朝日新聞社/時事通信フォト

緊急事態宣言の対象地域が全国へ広がり、企業の事業活動の自粛が相次いでいる。東京都など自治体の要請により実質的に休業を迫られている場合に、企業は「労働者の給料(休業手当)」を払うべきなのか。『日本企業 緊急事態宣言』の#14では、休業手当の支払い義務の有無について専門家に聞いた。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

緊急事態宣言下での営業自粛要請企業に
「休業手当」の支払い義務はあるか

 クライシスが発生した時のひずみは、必ずと言っていいほど社会的弱者への打撃が大きくなるものだ。非正規雇用など弱い立場の労働者が路頭に迷いかねない、「休業手当」の問題が勃発している。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、企業の事業活動の自粛が相次いでいる。4月16日、コロナ対策特別措置法に基づく「緊急事態宣言」の対象地域が7都府県から全国へと拡大されたことで、各自治体が緊急事態措置として講じる「事業者に対する営業自粛要請」の動きはさらに強まった。

 飲食店や劇場、アミューズメント施設、宿泊施設などBtoC(個人向け)サービスを提供する業界では、経営の存続が危ぶまれる企業が続出している。そして、窮地に追い詰められているのは経営者だけではない。休業となったことで賃金が十分に支払われなくなる労働者にもしわ寄せが及び始めている。

 経営者も労働者もピンチにある中で、今後、大きな社会的問題として浮上しつつあるのが「休業手当」の扱いである。国や自治体の緊急事態宣言を受けて企業が休業する場合に、労働者の賃金がどうなるのかという問題だ。