飲食店緊急事態宣言後、外出自粛が進み、飲食店は窮地に立たされている Photo:SOPA Images/gettyimages

1人10万円の資金配布分について、国は収入が減っていない人に対する復興税で取り返し、それを財源に飲食店などを支援すべきである。(塚崎公義)

1人10万円の資金配布は愚策

 一律1人10万円の資金給付をすることになるが、これは愚策である。年金生活者や公務員、一般企業のサラリーマンなどに一律で金を配るのではなく、困っている飲食店などに集中的に支援すべきである。

 1人10万円を配布すれば、景気対策にはなるだろう。しかし、たとえばパソコンが売れるだけで、今本当に困っている飲食店等々は潤わない。少々乱暴ではあるが、「パソコン会社が10万円の黒字で飲食店が10万円の赤字なら±0だ」という考え方では、今の日本経済の窮状を救うことにはならないのである。

 パソコン会社の利益が10万円増えても、それだけのことであるが、飲食店の赤字が10万円増えて倒産してしまったら、日本経済が失うものは非常に大きい。経営者の破綻や従業員の失業、まだ使える設備のスクラップ化等々は、景気が回復しても戻らないからだ。

 したがって、10万円のパソコンが売れることよりも飲食店の資金繰りが10万円助かることの方が、日本経済にとってはるかに重要なのである。